作品概要
作曲年:1893年
出版年:1893年
初出版社:Jurgenson
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:1時間08分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
総説 : 舘 亜里沙
(832 文字)
更新日:2014年10月16日
[開く]
総説 : 舘 亜里沙 (832 文字)
チャイコフスキー(1840‐93)が最晩年の1893年に遺したピアノ作品であり、彼の有名な交響曲第6番《悲愴》の創作期間中に書かれました。完成後、作品は出版商であり友人でもあったP. ユルゲンソン(1836-1903)のもとに持ち込まれています。「小品」という名のもと、ほとんどの楽曲が小規模な音楽作品によく用いられるA-B-A´の三部形式で書かれていますが、長さは5分前後とある程度のボリュームがあり、中には演奏者にかなりの技術を求めるものもあります。
三部形式のAとBの部分は楽譜上でも明確に分けられており、聴き手の耳にもはっきり感じられるため、それぞれの楽曲におけるコントラストが聴きどころです。また、A´部分がA部分とどのように変わっているのかも興味深い点で、例えば第17番<遠い昔>では、A´部分がA部分の美しい変奏となります。終曲の第18番<トレパークへの誘い>のみ三部形式をとらず、冒頭のモティーフが次々と華やかさを増してゆきます。
楽曲のタイトルは、いわゆる器楽曲のジャンル名を指すもの(第1番<即興曲>など)と、パロディー的なもの(第9番<少しシューマン風に>など)と、舞曲の名前がつけられたもの(第7番<演奏会用ポロネーズ>など)と、その他の具体的なテーマを持ったもの(第8番<対話>など)の4パターンに分けることが出来ます。こうしたタイトルの付け方は、シューマンの組曲《謝肉祭》を彷彿とさせますが、《謝肉祭》のように作品全体を統一する構成要素があるわけではなく、むしろ18の独立した世界観を持つピアノ曲が集まっています。
チャイコフスキーはこの後に完成する交響曲第6番《悲愴》では、「人生」や「死」といった非常に切迫したテーマに挑んでいた一方で、その直前の時期にはバレエ《くるみ割り人形》やオペラ《イオランタ》といった、ロマンティックなおとぎ話のための作品を書いていました。この《18の小品》には、そうした彼の創作の両極が巧みに入り混じっています。
楽章等 (18)
ピティナ&提携チャンネル動画(25件) 続きをみる
楽譜
楽譜一覧 (14)

(株)春秋社

(株)全音楽譜出版社

(株)全音楽譜出版社

(株)全音楽譜出版社

Peters

Peters

Peters