ラフマニノフ :エチュード(練習曲) 「音の絵」 第5番 Op.39-5 変ホ短調

Rakhmaninov, Sergei Vasil'evich:Etudes-tableaux Appassionato es-moll Op.39-5

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:練習曲
総演奏時間:5分00秒

解説 (1)

解説 : 山本 明尚 (349文字)

更新日:2020年1月23日
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ラフマニノフは同音の和音連打によって感情の昂りやクライマックスを示すことが多い。ピアノ協奏曲第2番第1楽章の展開部末尾、《チェロ・ソナタ》、〈前奏曲〉作品32-10、歌曲〈なんという幸福!〉作品34-12、《パガニーニの主題による狂詩曲》第14変奏、ピアノ協奏曲第4番の各楽章のクライマックス……など、その作例に暇はない。その作法が練習曲として活かされているのがこの作品である。主部の絶え間なく両手で奏でられる和音連打は熱情的でありながらも、伴奏として単調にならず、さらにソプラノ声部の切れ目ない旋律を効果的に響かせられるような工夫が求められる。中間部は調性が不安定になる推移的部分でもあり、左手の分散和音の伴奏とデュナーミクの点で主部と対比をなし、さらに穏やかなコーダへの伏線ともなる部分である。

執筆者: 山本 明尚