チャイコフスキー :「四季」-12の性格的描写 6月 「舟歌」 Op.37bis ト短調

Tchaikovsky, Pytr Il'ich:Les saisons - 12 Morceaux caracteristiques No.6 "Barcarolle" g-moll

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:舟歌
総演奏時間:4分00秒

解説 (2)

解説 : 山本 明尚 (580文字)

更新日:2019年6月25日
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岸に立てば 寄せる波

僕たちの足に接吻するだろう

星は神秘的な哀愁とともに

僕たちの上に光を放つだろう

エピグラフはプレッシェーエフ(プレシチェーエフとも)の「歌」(1845)より。一人称複数の「僕ら」は、詩のその後の展開を読むに、若い恋人なのだろう。

ト短調の主和音による寄せては返す波のような緩やかな伴奏を前奏として、チャイコフスキーが得意とする、音階上の順次進行をベースにした旋律が奏でられる(他の例は、例えば交響曲第4番の最終楽章や、《くるみ割り人形》のパ・ドゥ・ドゥ、弦楽セレナーデの第23楽章などにみられる)。一般に舟歌は6/89/8といった複合拍子で作曲されることが多いが、興味深いことに、チャイコフスキーは4/4拍子を選択している。

短い中間部では同主長調へと転じ、次第に速度を増していき、「giocoso(快活さをもって)」という指示のもと、3/4拍子でクライマックスに達するが、その快活さは長続きせず、高音部でのきらびやかなアルペジオで中断され、主要部の再現へと回帰する。出版者ベルナルトは、このアルペジオの響きから、星の瞬きを見出し、エピグラフを選定したのかもしれない。

執筆者: 山本 明尚

演奏のヒント : 大井 和郎 (1503文字)

更新日:2018年3月12日
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