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シューベルト : 即興曲集 第4番 D 899 Op.90-4 変イ長調

Schubert, Franz : 4 Impromptus  No.4 As-Dur Op.90-4

作品概要

楽曲ID: 21488
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:即興曲
総演奏時間:7分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展1 発展2 発展3 発展4 発展5 展開1

楽譜情報:9件
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解説 (3)

解説 : 稲田 小絵子 (103 文字)

更新日:2019年1月6日
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アレグレット、変イ長調、3/4拍子。

冒頭は同主短調の変イ短調で始まる。トリオ部分は嬰ハ短調つまり冒頭の下属調(異名同音)をとる。異名同音を利用した転調が、スムーズでありながらも印象的な進行をもたらしている。

執筆者: 稲田 小絵子

解説 : 髙松 佑介 (575 文字)

更新日:2019年4月8日
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第4曲:アレグレット、変イ短調、4分の3拍子

 主部―トリオ部―主部という三部形式を取り、各部とも和音を様々に用いて構築されている。

 主部は変イ短調で始まり、右手の分散和音と第2拍を強調した左手のリズムで構成される。これら動きのある4小節と、動きに歯止めをかける四分音符の2小節が交互に繰り返された後、四分音符による和音の連続が8小節続くと、不意に変イ長調へと転じる。長短調の突然の転換は、シューベルトの好んだ手法だ。変イ長調になると、四分音符のフレーズが現れなくなり、さらに冒頭では2小節単位だった分散和音が1小節単位に縮まることで、切迫の効果が生まれる。これを土台として、低声部に初めて旋律的な主題が現れ(第47小節)、不協和音(第68小節)へと徐々に高揚する。それが静まると、例の主題が三連音の分散和音を伴って高声部に奏でられ(第72小節)、十六分音符の分散和音が回帰して主部を閉じる。

 トリオ部は、変イ音を嬰ト音として読み替え、嬰ハ短調となる。ここで旋律を支えるのは、分散和音ではなく、和音の連打である。トリオ部も三部形式を取るが、主部が同主長調で回帰し(第139小節)、長短調の転換が行われる。

 主部が回帰すると、コーダはなく、変イ長調のまま2つの和音によるカデンツで堂々と締めくくられる。第1曲とは異なり、一義的な長調での終止となっている。

執筆者: 髙松 佑介

演奏のヒント : 大井 和郎 (794 文字)

更新日:2025年10月9日
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あまりにも有名な即興曲ですが、起こりやすい問題を挙げてみます。まずテンポの問題です。テンポは場所によって変えない様にして下さい。典型的なのは、1〜4小節間がもの凄く速く、56小節間がもの凄く遅いという演奏です。これでは果たして何拍子の曲かさえも判らなくなります。テンポは1つにして、その中で表現をして下さい。もう1つ、よく起こりうる事で、曲自体のテンポをもの凄く速く設定してしまう学習者がいます。アレグレットです。アレグロではありません。決して速くなりすぎない様にしてください。

47小節目以降、左手にメロディーラインが来ます。この時、4749小節間には、非和声音が1小節につき、たった1つだけ存在します。それは3拍目裏拍の8分音符で、経過音の役割を果たしています。この8分音符は非和声音ですので、解決音によって和声そのもは変化するものの、例えば、47小節目の非和声音Gは、48小節目でFに解決すると考えます。その時、そのFには決してアクセントは付けない様にしてください。以下同様です。1拍目の音符にはアクセントを付けず、2拍目の音符で音量を上げる用にして下さい。

加えて、これはこの曲に限らず、シューベルトの多くの曲に共通して言えることでもありますが、とにかく繰り返しが多くあることが特徴で、その繰り返しを、1回目と2回目全く同じように演奏するのではなく、何かしら変化が欲しいです。冒頭12小節間と34小節間でさえも、何かしらの微妙な変化が欲しいです。そして、長調が短調になる部分、あるいはその逆、の部分はカラーの変化が欲しいです。とにかく、同じように平坦に弾かないことが、シューベルトの場合特に重要です。

執筆者: 大井 和郎

参考動画&オーディション入選(1件)

鈴木 直美