ブラームス :主題と変奏(弦楽六重奏曲第1番より) Op.18b ニ短調
Brahms, Johannes:Thema und Variationen d-moll Op.18b
総説 : 中塚 友理奈 (388文字)
この曲は、ブラームスの作品《弦楽六重奏曲第1番》(全4楽章)のうち、作曲者自ら1860年に第2楽章をピアノ独奏用に編曲したものである。この作品はロベルト・シューマンの元妻クララに献呈された。1860年9月13日、ブラームスは41歳の誕生日の記念としてクララにこの曲を贈ったのである。1865年10月31日、フランクフルトで初演。
この作品は、主題と6つの変奏から成っている。ベートーヴェン的でもあり民謡風でもある主題からエネルギッシュに始まる。第1変奏で主題が16分音符に分割され、第2変奏で動きが活発になり、第3変奏でクライマックスに達する。第4変奏ではニ短調からニ長調へと変わり、一転して穏やかになる。第5変奏では主題から遠ざかりながらも、わずかにその面影を見せる。第6変奏でニ短調に戻り、主題の旋律が正確に再現される。ただし、その終結は冒頭とは異なり、最後は静かに終わる。
主題と変奏 ニ短調(弦楽六重奏曲第1番より)