フォーレ :舟歌 第4番 Op.44 変イ長調
Faure, Gabriel:Barcarolle No.4 As-Dur Op.44
執筆者 : 齊藤 紀子 (298文字)
1886年に作曲され、翌年にアメル社より出版された。作曲家のエルネスト・ショーソンの夫人に捧げられている。フォーレは、画家のルノワールの計らいでショーソン夫妻と知り合った。フォーレとショーソンには、1880年代に共にヴァーグナーに傾倒したこと、ヴァーグナーの作品を聴くためにしばしばドイツやスイスへ旅に出たこと、国民音楽協会の同志であること、といった共通点がある。
アッレグレットの変イ長調で書かれたこの舟歌は、第1番の舟歌と同様に、フォーレの作品の中では比較的簡素な構成をとっている。とは言え、中間部において意表をつくような転調が繰り返され、増5度の音程が多用されていることを特筆すべきであろう。
舟歌 第4番 変イ長調