ペヤチェヴィチ :ピアノ・ソナタ 変イ長調 Op.57
Pejačević, Dora:Piano Sonata As-Dur Op.57
解説 : 西井 葉子 (382文字)
1921年3月、35歳の時に書かれたこのピアノ・ソナタは、ドラの最後のピアノ作品である。彼女はこの年の9月に結婚し、翌1922年に《弦楽四重奏曲 ハ長調》Op. 58を最後に作曲して、1923年3月に37歳で亡くなった。長らく手書きの自筆譜の状態で残されていたが、2005年クロアチア音楽情報センター(Muzički informativni centar)により出版された。1923年12月23日ザグレブで、スヴェティスラヴ・スタンチッチ(Svetislav Stančić 1895-1970)により初演されている。単一楽章形式で作曲されており、フランツ・リスト(1811-1886)のピアノ・ソナタ(単一楽章)からの影響が垣間見える。19世紀末から20世紀初頭の激動の時代に、新天地を求め続けた彼女の孤独な作曲人生を象徴するような味わい深い作品となっている。
ピアノ・ソナタ 変イ長調 (単一楽章)
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