ペヤチェヴィチ :葬送行進曲 ロ短調 Op.14
Pejačević, Dora:Trauermarsch h-moll Op.14
解説 : 西井 葉子 (352文字)
1902年、17歳頃の作品。17歳の少女による作曲とは思えないほど、精神的に深い作品となっている。お城でプリンセスとして育ったドラは、由緒ある貴族の出身であるが、彼女はそれ故に葛藤し続けた。死後、ペヤチェヴィッチ家の立派な霊廟に入ることを望まず、一般市民と同じように葬られることを望んでいた彼女は、その敷地の片隅にひっそりと眠っている。葬儀のお花の代わりに、貧しい音楽家たちへの寄付を望んでいたそうである。彼女の葬儀に際して、この葬送行進曲が演奏された。
4/4拍子、ABAの3部形式で書かれており、主部(A)の重苦しい葬送の行進に続いて、中間部(B)では、軽めのタッチで美しい旋律が流れ、コーダは、クレッシェンドした後、葬送の行進の足音が遠のいていくかのように、ピアニッシモで静かに穏やかに締め括られる。
葬送行進曲
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