シューベルト :幻想曲 D 940 Op.103 ヘ短調
Schubert, Franz:Fantasie f-moll D 940 Op.103
執筆者 : 稲田 小絵子 (226文字)
シューベルト最期の年、1828年のピアノ連弾作品。彼の数多い連弾曲の中でも、高い音楽的内容をもつ傑作と称される。献呈は、出版社によって、シューベルトが2度のジェリズ赴任でピアノを教えたエステルハージ伯爵家の下の娘カロリーネになされた。
作品は、切れ目なく続く3つの楽章から成るが、実質的には4部分構成といえよう。暗く陰鬱であるが魅力的な第1楽章冒頭の主題が、第3楽章の後半に回帰し、やがてフーガを展開して作品を閉じるといった、構成的にも整った作品である。
幻想曲 ヘ短調