メンデルスゾーン : ピアノ・ソナタ 第3番 変ロ長調 Op.106 U 64
Mendelssohn, Felix : Sonate für Klavier Nr.3 B-Dur Op.106 U 64
作品概要
作曲年:1827年
出版年:1868年
初出版社:Rieter-Biedermann
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:18分30秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
執筆者 : 和田 真由子
(908 文字)
更新日:2007年10月1日
[開く]
執筆者 : 和田 真由子 (908 文字)
1827年、メンデルスゾーンが18歳の時の作品。メンデルスゾーンのソナタの中でも演奏される機会が多く、親しまれている。出版は、彼の死後、1868年に初版が出された。作品番号は、メンデルスゾーンの没後に出版社や、編纂者によってつけられたものであるため、作曲された順番とは関連していない。
メンデルスゾーンは、ベートーヴェンを敬愛していた。ベートーベンが他界した1827年に作曲されたこの作品においても、ベートーヴェンの《ハンマークラヴィア・ソナタ》との多くの類似点が指摘されている。全4楽章からなり、全曲通して演奏される。平均演奏時間は、20分弱。
第1楽章 変ロ長調 アレグロ・ ヴィヴァーチェ:重音の連打で力強くかけあがる華やかな冒頭をもつ。《ハンマークラヴィア・ソナタ》と非常に似た性格を持っている。冒頭のはぎれのよいリズム音型は曲全体を貫いており、統一感をもたらしている。
第2楽章 変ロ短調 スケルツォ:3部形式による。全体を通して16分音符がスタッカートで軽やかに奏されるスケルツォ楽章。全体的にはぎれがよいのでその中でみられる持続音の推移や、スラーで結ばれる短い楽句が印象的に響く。
第3楽章 ホ長調 アンダンテ・クアジ・アレグレット-アレグロ・モルト:3部形式による。8分の6拍子の漂うようなリズム伴奏にのせて、優美な旋律がオクターブで歌われる。中間部は、短く、憂いをおびたような雰囲気をもつ。再びもとの主題が現れた後、短いコーダがあらわれ、アレグロ・モルトに続く。ここは、移行部的な性格をもち、第一楽章のリズム音型が用いられている。興奮を徐々に高めながら、第4楽章に続く。
第4楽章 変ロ長調 アレグロ・モデラート:第3楽章から切れ目なく奏される。3部形式による。左手の3連音符の伴奏に支えられながら、右手で柔らかな旋律が奏される。アレグロ・ノン・トロッポの中間部では、雰囲気が一変し、第2楽章のスケルツォ素材が再び用いられる。そして冒頭の主題が再現されるが、和声的な盛り上がりの後、オクターブで奏される旋律は、非常に甘美で魅力的である。最後は、アルペッジョで柔らかい雰囲気がつくられ、消えるように曲をとじる。
ピティナ&提携チャンネル動画(0件)
楽譜
楽譜一覧 (3)

(株)全音楽譜出版社

Breitkopf & Hartel