ベートーヴェン : ディッタースドルフのジングシュピール「赤ずきん」からのアリエッタ「昔々おじいさんが」による13の変奏曲(「赤ずきん」変奏曲) WoO 66
Beethoven, Ludwig van : 13 Variationen über die Ariette "Es war einmal ein alter Mann" aus dem Singspiel "Das rote Kappchen" von K.D.von Dittersdorf WoO 66
作品概要
解説 (1)
執筆者 : 稲田 小絵子
(468 文字)
更新日:2008年7月1日
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執筆者 : 稲田 小絵子 (468 文字)
当時の変奏曲では、人気のあるオペラなどから主題をとることが多かった。この作品の主題は、1791-92年にボンで上演されていたカール・ディッタース・フォン・ディッタースドルフ(1739-99)のジングシュピール《赤ずきん》のアリエッタより。彼はヴィーンで活躍したヴァイオリニスト・作曲家である。
主題が37小節というイレギュラーな長さなのは、1小節のパウゼ(間)と、間奏的な4小節が含まれているからである。変奏では特にこの部分がどのように処理されているのかが興味深いのだが、和声的な面では、主題と異なっているのは第12変奏だけである。全体的に見ても、この作品は調的・和声的には小細工を行わず、安定した土台を築いている。
しかし、リズムに関しては、多くの工夫が凝らされているのがわかる。同じリズムになりそうであれば、拍子を6/8や4/4などに変化させているため、第5変奏以降、頻繁に拍子が入れ替わるのである。また、速度表示や、「カプリッチョ」、「マルチャ・ヴィヴァーチェ」といったキャラクターの変化を求める指示も、変奏の多様性に一役買っている。
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