三善 晃 1933-2013 Miyoshi, Akira
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解説:飯田 有抄 (1305文字)
更新日:2018年4月24日
解説:飯田 有抄 (1305文字)
管弦楽、室内楽、声楽など多くの作品を手がけ、その作風にはフランス近代音楽の影響が指 摘される。東京生まれ。3歳から自由学園の音楽教室でピアノを習い、小学校入学後から平井康三郎に作曲を学ぶ。その後、池内友次郎に師事。音楽大学で作曲を学ぶ道は選ばず、1951 年に東京大学文学部仏文科に入学。在学中にクラリネット、ファゴット、ピアノのための《ソナタ》で、第22回日本音楽コンクール(1953年)の作曲部門室内楽曲で優勝し注目される。同年訪日したレイモン・ガロワ=モンブランに師事。 54年作曲の《ピアノと管弦楽のための協奏交響曲》で三善にとって初となる尾高賞を受賞する。
1955年からフランス政府給費留学生としてパリ音楽院に留学。留学先でもガロワ=モンブランに師事するとともにアンリ・シャランのもとで学び、またアンリ・デュティユーの影響を強く受ける。
1957年に帰国。翌58年作曲の《交響的変容》 は岩城宏之指揮、NHK交響楽団の演奏によって放送初演される。この作品はEを中心音としたシンメトリックな半音階的音型と、それに基づく変容主題によって構成されている。半音の使用および変容は、この時期の三善作品の重 要な造形原理となる。とりわけ変容についてはデュティユーの影響が指摘されるが、60年代に入ってからの《ピアノ協奏曲》(1962)や《管弦楽のための協奏曲》(1964)におけるモチーフの変容には、短2度(半音)を構成の中心的な音程としつつ、日本の伝統音楽における「序破急」的な性格が認められる独自のテンポ設計を施す。管弦楽曲とならび声楽作品も創作している。《高原断章》(1955)、《白く》(1962)といった数々の歌曲のほか、合唱組曲《こどもの季節》(1965)では芸術祭賞を、合唱曲《5つの童画》(1968)では、その古典的なまでに洗練された書法が高く評価され、芸術祭奨励賞を受賞している。
1967年の弦楽四重奏曲第2番からは無調的な響きが顕著になり、70年代にはグラフィックな楽譜を用いたり特殊奏法の指示なども増える。そうした書法は合唱とオーケストラのため の《レクエイム》(1971)、混声合唱とオーケス トラのための《詩篇》(1979)、児童合唱とオーケストラのための《響紋》(1984)に結実。死者の声を聴く《レクエイム》、生者から死者への呼びかけである《詩篇》、わらべ歌の「かごめ」を題材として子どもたちの声をもちいる 《響紋》は、三善の死生観を描いた、「合唱とオーケストラのための三部作」として知られる。 その構想は、《夏の散乱》(1995)、《谺つり星》《霧の果実》 (1996)《焉歌・波摘み》(1998)は四部作と呼ばれる90年代の作品にも貫かれている。
なお、ピアノ教育の分野にも積極的に取り組み、《音の森》(1978)や《海の日記帳》 (1981) など広く愛されるピアノ作品集を残したほか、子どものためのピアノメトードの開発、「三善晃ピアノコンクール」開催にも尽力した。桐朋学園大学学長、東京文化会館館長など歴任。芸術院会員、文化功労者。尾高賞(6回)、サントリー音楽賞など受賞。
作品(29)
ピアノ協奏曲(管弦楽とピアノ) (2)
ピアノ独奏曲 (7)
曲集・小品集 (6)
種々の作品 (8)
ピアノ合奏曲 (3)
性格小品 (2)
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種々の作品 (3)