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平吉 毅州 1936-1998 Hirayosi, Takekuni

解説:長井 進之介 (990文字)

更新日:2018年4月25日

1961(昭和36)年生まれ、神戸出身の作曲家。 東京藝術大学卒業を経て同大学大学院修了。作曲を長谷川良夫、伊熊良穂に師事し、大学卒業の翌年には《管弦楽のためのコンポジション》 で第31回日本音楽コンクール第1位入賞を果たす。1969(昭和44)年には《交響変奏曲》にて第18回尾高賞も受賞。12音技法から発展した無調性の手法を駆使し、精緻で堅実な語法とスケールの大きな作風によって独自の語法を確立。響きには新しさを感じさせるものが多用されているものの、平吉の作品には旋律美が絶えず存在し、多くの聴衆を魅了してきた。それは彼の書いた作品の中で最も多いジャンルが合唱曲であることが示している。《我が里程標》 や 《空に小鳥がいなくなった日》 、《ひとつの朝》などは特に愛唱されている作品で、また児童合唱曲 《気球に乗ってどこまでも》は、1974年度第 41回NHK全国学校音楽コンクール小学校の部における課題曲となり、平吉の代表作の一つに挙げられている。地球環境漫画『地球の秘密』 をモチーフにした合唱と吹奏楽のためのミュージカル《あいと地球と競売人》も手掛けた。これは斐川町立西野小学校の当時6年生だった坪田愛華が学校の課題として描き上げたものであり、平吉のこうした創作姿勢からは、子どもを愛する心が強く見えてくる。ピアノ独奏曲の ジャンルにおいては、子どものための作品の創 作に力を入れており、彼の子どものための曲集 《虹のリズム》、《南の風》、《春になったら》といった作品は、子どもはもちろん、大人にも愛奏される曲集となっている。ヨットを愛し、自然を愛した人物で、そうした一面も作品には反映されており、詩的なタイトルや情景描写に富んだ作品の多さにつながっている。作曲技法的には武満徹(1930~1996)からの影響が大きく、中でも武満の《弦楽のためのレクイエム》に影響を受けたとされている。また平吉の作品には日本人独特の繊細な感情や “わびさび” といったものが見受けられるが、これもまた武満からの影響が関連していると言えるだろう。彼のそうした特性は、マリンバと3つの楽器のため の《対話》(1968)などの室内楽曲や、《ピアノのための「悲歌」》 (1997)といったピアノ曲に顕著にあらわれている。東京藝術大学非常勤講師、桐朋学園大学教授、沖縄県立芸術大学教授も歴任した。

執筆者: 長井 進之介
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解説 : 須藤 英子 (217文字)

更新日:2010年7月1日
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