《サンバ・カンシオン》は、1992年、ピアノ・ソロ作品として作曲され、作曲者自らの手で、 ピアノ連弾作品およびクラリネットとピアノのために編曲された。1998年5月28日に61歳 で他界した平吉毅州の遺作集(カワイ出版)の中 に、《ハバネラ》、《初恋》と共に収められている。
タイトルの “Samba Canción” という語はスペイン語であり、“Canción” は「歌song」という意味を持つ。流動的で、哀愁漂う主旋律が楽曲全体を通じて登場する。南米アルゼンチンの民謡の形式で、ピアノ・ソロのヴァージョンでは、右手が8分の6拍子、左手が4分の3拍子で書かれており、その対比が楽曲に独特の余韻をもたらしている。 また、《ハバネラ》(1995)と本作は作曲年が前後しているが、作曲者の意図するところによると、2曲続けて演奏する際には、《ハバネラ》 、《サンバ・カンシオン》の順番で演奏することが求められる。