ラモーの主題による変奏曲、間奏曲とフィナーレは、ソナタ(1899-1900)と並び、デュカスの重要なピアノ作品の一つである。
である。1903年に作曲され、同年3月、エドゥアール・リスレールによって初演された。この曲は大きくは3つのグループに分けることが出来る。一つ目は、最初の1~6変奏。二つ目は、第7~10変奏と間奏曲。三つ目は終曲である。各変奏において、異なる主題の展開がみられることが特徴である。各変奏の中において、主題のさまざまな要素が拡大され、フィナーレでは神格化された主題が完全な形で再提示される。
テーマ:ラモーのクラヴサン曲集より第四組曲の(メヌエット)。曲そのものはあまり印象の強いものではない。
第1変奏:ニ長調 4分の3拍子 主題の旋律がより優しくメロディアスに奏される。
第2変奏:ロ短調 4分の2拍子 全曲とは対照的な性格で、2拍子で力強いリズムのゆれが印象に残る。
第3変奏:ニ長調 16分の6拍子(急がずに)再びニ長調もどる。4声からなり、音の響きが繊細に織り上げられていく。低音部の主要旋律が浮かび上がるように。
第4変奏:ニ長調 4分の4拍子 シンコペーションのリズムによって混乱した感覚を与えられる。三連音の伴奏にのせて、主題が現れるが、和声的にもめまぐるしい変化をみせる。
第5変奏:ニ長調 4分の3拍子(緩徐に)深みのある音色で対位法的に奏される楽想。重苦しく奇妙で、しかし神秘的な美しさがある。
第6変奏:ニ長調 4分の3拍子 ワルツのように奏される。この変奏において、もとの主題は断片としてしか存在していない。
第7変奏:ニ長調 4分の5拍子(かなり活発に)もとの主題を形として見出すことはできない。ヴィルティオーゾ的な要素が強い、早急で、きまぐれな曲。
第8変奏:ニ長調 4分の4拍子 主題のリズム構造、旋律構造が断片的に拡大、縮小された形で示されている。わきあがる泉のような激しさをもった変奏。
第9変奏:ニ長調 8分の9拍子 素朴だが活気あるリズムにのせて、左手ではっきりした形で主題が奏される。
第10変奏:ニ長調 4分の3拍子 主題とのつながりをはっきりとみとめることはできないが、和声的につながりを維持している。舞曲風の優雅な変奏。
第11変奏:ニ短調 4分の3拍子(暗く、かなりゆっくり) 重苦しく、深みにはまっていくような第一主題、第二主題は完全和音の進行によって美しく示される。
間奏曲:即興的な要素の強い変奏。暗く重い調子が徐々に開けてフィナーレへむかって輝きをはなちはじめる。
フィナーレ:これまでの重さ、暗さがふっきれたような活気と輝きに満ちている。もとの主題は完全な形で再現される。フィナーレにふさわしい高揚をみせ、静まりをみせ、最後は潔く曲を閉じる。