全4曲からなる組曲「小径」は、1920年から1923年にかけて作曲され、1927年にリカルト・ビニェスによって初演された。それまでのブランカフォルトのミニチュア的作風からの脱却が見られる意欲的な作品で、素朴な叙情性を残しながらも、表現の幅は大きく広がっている。同郷の作曲家で友人であったモンポウに捧げられている。
1. 孤独の小径
ゆっくりと、内省的に。ロ短調。詠嘆するような主題がくり返されるあいだに、軽やかな舞曲風のエピソードが挿入される。
2. 楽しみのない祭りの小径
ゆっくりと、嘆いて。ホ短調。悲痛なカンタービレの旋律が印象深い。中間部には軽快な、飛翔するようなモチーフが現われる。
3. 最後の出会いの小径
速く - とても活発に。ロ短調。頻繁にテンポが変化し、音域の幅も広いダイナミックな曲。間に挿入される歌が美しい。
4. 丘の上の小径
速く、快活に。ロ長調。今までの暗い雰囲気から一転、明るい陽光を感じさせる輝かしい響き。終結部の pp sonore というダイナミクスが特徴的。