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フィリップ :《スケルツォ》(三重奏曲 Op. 63 第2楽章)(原曲:ウェーバー)2台ピアノ

Philipp, Isidor:Schezo du Trio, Op. 63 (C. M. von Weber), transcription pour deux pianos

作品概要

楽曲ID:80242
出版年:1902年 
初出版社:Janin Frères
楽器編成:ピアノ合奏曲 
ジャンル:トランスクリプション
総演奏時間:3分00秒
著作権:要調査
原曲・関連曲: ウェーバーフルート、チェロとピアノのための三重奏曲

解説 (1)

解説 : 西原 昌樹 (1089文字)

更新日:2022年10月5日
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イシドール(イジドール)・フィリップは20世紀前半のフランスを代表するピアニストの一人に数えられる。名教師として多くの後進を育成した功績も大きい。演奏、教育に加え、作曲、編曲、既存楽曲の編纂・校訂・運指、教本の執筆など多岐にわたる活動の中で、ピアノデュオの作編曲が質量両面で充実していることにも着目したい。2台ピアノ用の編作は、出版譜だけでも60点以上に及ぶ。フィリップは生涯にわたって2台ピアノと密接なかかわりを持ち続けた。1875年に12歳の若さでサン=サーンスの2台ピアノの相手を務めてステージに立ったのを皮切りに、青年期には巨匠格の年長者や同世代の若い仲間と多く組んだ。壮年期以降は教え子たちと組むことが増え、マルセル・エーレンシュミット(Marcelle Herrenschmidt)と共にサン=サーンスのスケルツォ(Op. 87)をレコーディングしたとき(1939年)、フィリップは76歳であった。フィリップの2台ピアノ編作は、自身の演奏活動と門下の教育のために書かれたもので、実用性と芸術性を兼ねそなえた名品が揃っている。

フィリップはコンチェルトを得意とするソリストとして一時代を築いたが、室内楽の大家という一面もあり、器楽の名手たちとの自在な合奏を生涯にわたる楽しみとした。2台ピアノの編曲対象にウェーバー三重奏曲(フルート[またはヴァイオリン]、チェロ[またはファゴット]とピアノ)Op. 63 の第2楽章を選んだのも、豊富な室内楽経験の表れといえる。フィリップが本編作に先立ち、同じ曲のアルカンによるピアノ独奏用編曲(《室内楽の想い出》第6曲)の改訂新版の刊行(コスタラ、1900年)に際し、ドラボルドと共同で校訂者として関与した事実にも着目したい。アルカン版に触発されて2台ピアノ編曲を手がけた可能性も考えられる。ウェベル夫人(Madame H. O. K. Webber)への献呈。アレグロ・ヴィヴァーチェ、4分の3拍子、ト短調。門弟とのアンサンブルが意識され、無理のない簡潔な書法でまとめられている。近時のレッスンの現場で弾かれるウェーバーといえば、《舞踏への勧誘》Op. 65を別格とすると、《華麗なロンド》Op. 62《華麗なポロネーズ》Op. 72あたりで精一杯というのが実情ではないだろうか。こうした弾きやすい編曲に親しんで、少しでも作曲家への理解の幅を広げたい。

執筆者: 西原 昌樹
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