スクリャービン(スクリアビン) :幻想曲  Op.28 ロ短調

Scriabin, Alexander:Fantaisie h-moll Op.28

作品概要

作曲年:1900年 
出版年:1901年 
初出版社:Belaïev
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:幻想曲
総演奏時間:8分30秒

解説 (1)

執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部 (523文字)

更新日:2007年5月1日
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スクリャービンの作品群は一般的に、主にショパン風のピアノ小品を数多く作った初期(~1989)、リスト・ワーグナーの影響を受け調性にとどまりながらも神秘和音を使い始め独自の作風を試みた中期(~1908)、そして自分の芸術と神秘主義的思想を結びつけ、さらに音と色彩の合一をめざした後期(~1915)の三つに分類されるが、1900~01にかけて作られたこの作品は初期の集大成ともいえる壮大な曲想を持っている。まだショパンや後期ロマン派的な濃厚な感情表現が随所に見られるが、冒頭で提示させた短二度のモチーフをたった数小節の間に異常な緊張感をともなった長七度にまで発展させるところには中期・後期作品でみられる深い神秘性を垣間見ることができるだろう。彼自身が20代前半で右手をこわしたせいか、特に左手に連続するオクターヴの跳躍や広いアルペジオのパッセージが現れ技術的に非常に困難な曲だが、それ以上に美しく流れる官能的なメロディーやスクリャービン独特の躍動感あふれる付点を含む三連符のリズムなど様々な魅力的な要素がちりばめられ、さらにリストやワーグナーの交響楽的な重厚さ、自在に動くいくつもの入り組んだ旋律線なども合わせ持った、非常に聴き応えのある作品である。