バッハ, カール・フィリップ・エマヌエル :マーチ ニ長調 ニ長調 H. 1/1 (BWV Anh. 122)

Bach, Carl Philipp Emanuel:Marche D-Dur D-Dur H. 1/1 (BWV Anh. 122)

作品概要

楽曲ID:65111
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:種々の作品
総演奏時間:0分40秒
著作権:パブリック・ドメイン
原曲・関連曲: バッハ行進曲 ニ長調

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用2

楽譜情報:3件

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1555文字)

更新日:2021年7月13日
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楽しい2拍子のマーチです。この曲はとにかく強弱が平坦になりがちですので、そこを注意するようにします。筆者の楽譜には既にダイナミックマーキングが書いてありますが、恐らくこれは後から編集されたものではないかと想像しています。曲は2部形式で、リピートマーキングの部分で2つに分かれます。

ではまず、前半を見ていきましょう。まれなケースではありますが、前半は9小節間になります。 8小節目の終止形が1小節余計にかかっているので、これで9小節分になるのですね。この9小節間は、1-4小節間、5-9小節間の2つに分けます。1-2小節間、2拍目のメロディーである、Aに微量のアクセントを付けても構いません(ただし付けすぎないように)。2拍目を感じて弾きます。強弱はメゾフォルテ位で良いでしょう。3小節目で左右の手が広がり、右手はこれまでで最も高い音 であるAに達します。3小節目は強弱を大きくします。そして5-6小節間、左手はオクターブ下のDがバスの音になりますので、大きさを保ち、7小節目で終止形を迎えます。大きさを保って構わないのですが、8小節目の1拍目は前の小節の和音の解決部分です。8小節目の1拍目のAは左右ともに音量を落としておきます。

なぜ音量を落とすかというと、同小節2拍目から再び終止形を迎えるため、音量を上げやすくしておきます。  

ここまでで、典型的に発生する問題点を明記しておきます。例えば、4小節目2拍目の2分音符であるDや、5小節目同じく2拍目のメロディーDは、2分音符ですから2分音符分伸ばさなければならないのですが、ついつい短めに(4分音符分くらいに)切ってしまいがちです。ここはきちんと音価を守るようにします。  

多くの学習者が8小節目で苦しい音を出します。それは:

1 左右がずれる

2 左手の連打が 重くなる、遅くなる  

のいずれか、または両方です。左手連打の指使いは必ずしも、3-2-1な どのような指使いでなくとも、3-3-3 等でも構いません。左手の手首で連打するための筋肉が必要になりますので、数多く、ひとまとめにして、連打だけ2-3分練習してみましょう。練習後、連打が楽になるはずです。  

この部分のダイナミックに関してですが、どうしても連打の部分が大きいと耳障りになります、連打はたとえフォルテのセクションでも音量をぐっと落とした方が良いでしょう。  

続いて次のセクションに入ります。D-durでスタートした冒頭に対し、10小節目は同じメロディーが、A-durで始まります。ここは、D-durとは異なった音質がほしいところです。音量をぐっと控えて軽く演奏してみましょう。異なったキャラクターと考えて頂いても構いません。  

さてこの曲のピークポイントは8-9小節間、あるいは21-22小節間の2つのカデンツの部分かもしれないのですが、13小節目の3拍目裏拍から17小節目まで、今までとは異なったドラマが起きると考えます。すなわち、13小節目から、音階の上行形を辿り、徐々にクレシェンドをかけていきます。このような、同じピッチパターンが連続して上行したり下行したりしていくパターンをシークエンスと呼びます。右に進むにつれて音量を上げていき、16小節目を最も大きくするようにします。当然のことながら、それには、13小節目をpで始めなければなりません。  

最後は20-22小節間のカデンツに向かって進みます。21-22のカデンツの注意点は、8-9小節間の注意点とまったく同じです。連打に気をつけましょう。一つだけ異なることは、8-9がテンポ 通りに淡々と進むのに対し、21-22小節間のカデンツは、22小節目の3つの4分音符を若干ゆっくり目にして終わりらしい終わり方をすると良いでしょう。

執筆者: 大井 和郎

編曲・関連曲(1)

バッハアンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳 第2巻 行進曲 BWV Anh.122 ニ長調

調:ニ長調  総演奏時間:1分05秒  ステップレベル:応用2