バイエル : ピアノ奏法入門書(バイエルピアノ教則本) 第93番 Op.101-93
Beyer, Ferdinand : Vorschule im Klavierspiel Op.101-93
作品概要
解説 (2)
解説 : 佐竹 那月
(69 文字)
更新日:2022年2月28日
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解説 : 佐竹 那月 (69 文字)
イ短調。8分の6拍子。穏やかに波打つような左手の分散和音の上で、4分音符とふたつの16分音符からなる特徴的なリズムの旋律がもの悲しく響く。
演奏のヒント : 大井 和郎
(1336 文字)
更新日:2022年5月20日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (1336 文字)
この曲を上手に演奏する最大のポイントは、左右のバランスにあると筆者は思っています。故に、ペダルを使う事が出来るのであれば、ペダルを使った方が、演奏は格段に楽になりますが、ペダルを使わない、あるいは使えない学習者の方は、フィンガーペダルを用いてバス音を伸ばす事も試し見てください。
つまり左手は可能な限りスムーズに、ppで演奏される事が好ましいのですが、バス音が、表拍が来る度に登場していますね。この拍の頭に来るバス音こそ、拍を刻んでしまう役割を果たしてしまい、結果、音楽を縦割りに聞こえさせ、音楽が横に流れなくなります。故に左手を可能な限り小さくします。
これが1つ。
もう1つ重要な事は、フレーズの方向性です。各フレーズが「どの音」に向かって進んでいるのか考えてみましょう。
例えば最初のフレーズは、冒頭から2小節目2拍目のCまでと考えます。その時、向かうべき音は、2小節目1拍目のEの音であり、そこに向かう感じを出します。テンポを揺らすのでは無く、ダイナミックでコントロールしてください。次のフレーズは2小節目2拍目裏拍の16分音符CDから始まり、4小節目のCまでとします。これは可能性がいくつかありますが、3小節目の1拍目、表拍のEに方向を向かわせ、後は徐々に衰退していっても良いと思います。
次の5ー8小節間は実に色々な可能性がありますが、6小節目でA-mollからC-durにいきなり転調してしまいますね。6小節目は音色を変えるとよいでしょう。そして次のフレーズは7小節目のGがピークになり、これまでに出てきた音の中では最も高い位置にある事がわかります。
通常であれば、高い位置にある音は大きくするもので、それは実行しても良いともおもうのですが、調性を考えたとき、C-durといのは、A-mollの深刻さとは異なり、夢うつつな世界と考え、1ー4小節間よりも控えに弾いた方が良いのか?という考えも出来ます。
これらのアイデアは人それぞれの主観ですので、担当の先生と相談して色々決めていきましょう。
9ー12小節間も実に興味深い事実があります。例えばこの9ー12小節間の和音を分析した場合、和音は、9 V7. 10. I. 11 V7. 12. I. となり、ドミナント7とトニックが入れ替わります。11ー12を考えたとき、11のV7から12の主和音に解決するのですから、12小節目のメロディー音、Aは、かなり音量的には小さく弾かなければなりません。それはそれで良いのですが、ところが、10小節目を見ると、メロディー音は12小節目と全く同じであるのに、左手の和音のポジションが異なる事にお気づきでしょうか?10小節目の和音は主和音ですが、第2転回形で書かれています(第5音が一番下に来ています)。そうすると、この10小節目と12小節目を比べたとき、10小節目は12小節目と比べ、解決したという感じはなく、むしろ先に進む理由になる感じがしますね?
ここまで賛同頂いた場合、10小節目2拍目のメロディーAは、そこまで小さくしなくてもよいという理屈に達します。小さくする事はするのですが、12小節目ほどでは無いという意味です。
最後15ー16小節間、多少ゆっくりテンポを落とすとよいでしょう。
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