作品概要
解説 (2)
演奏のヒント : 赤松 林太郎
(657 文字)
更新日:2025年2月3日
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演奏のヒント : 赤松 林太郎 (657 文字)
シューベルトは健康の問題や金銭的な困難を抱えていたため、その短い生涯で遠方を旅することはありませんでしたが、唯2回ウィーンを離れて他国に出ました。1818年と1824年に滞在したツェリス(当時のハンガリー、現在のスロヴァキア領Želiezovce)にはエステルハージ家の邸宅があり、ヨハン・カール・エステルハージ伯爵に雇われたシューベルトは娘たちに音楽を教えました。その邸宅の厨房でハンガリー人のメイドが歌っていた民謡が、《ハンガリーのメロディ》の主題となった可能性が高く、1824年シューベルトと共に滞在したカール・フォン・シェーンシュタイン男爵が証言しています。楽譜に1824年9月2日の日付が記されていることも、この証言の信憑性を高めるものですが、この主題はシューベルトが「ハンガリー風」に作った、全くのオリジナルだという説もあります。いずれにしても、ハンガリーの叙情が色濃く感じられるノスタルジックなメロディです。
Op.94-3の《楽興の時》を思わせる8分音符による左手の伴奏も詩的です。Allegrettoが与えられていることからも、テンポの可能性はさまざまでしょう。速めのテンポを選ぶと軽やかになり、大きなフレーズを生かす歌い方ができ、遅めのテンポですと歌曲風になり、旋律の持つ郷愁を醸し出すことができるでしょう。
【参考リンク】
シューベルトを敬愛していたリストはこの作品も編曲しています。
音源 https://www.youtube.com/watch?v=dqeOQNzWhmY
楽譜 IMSLP
解説 : 稲田 小絵子
(179 文字)
更新日:2008年3月1日
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解説 : 稲田 小絵子 (179 文字)
1824年、ハンガリーのジェリツに赴任した際に作曲されたハンガリー情趣あふれる魅力的な小品。この赴任の目的がエステルハージ伯爵の2人の娘に対するピアノ教授であるため、必然的にピアノ曲、特に4手連弾曲が多く生み出された。そのうちの1曲である連弾曲《ハンガリー風ディヴェルティメント》D818の第3楽章は、同時期に誕生したこの独奏作品と共通した内容をもっている。
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楽譜
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