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シューベルト :ピアノ・ソナタ 第15番「レリーク」 ハ長調 D 840

Schubert, Franz:Sonate für Klavier Nr.15 'Reliquie' C-Dur D 840

作品概要

楽曲ID:586
作曲年:1825年 
出版年:1861年 
初出版社:Whistling
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:32分10秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

執筆者 : 稲田 小絵子 (664文字)

更新日:2007年6月1日
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未完のソナタ。《レリーク》(遺作の意)という呼び名は、1861年の初版譜にそう記されたことによる。第3,4楽章が不完全だが、最初の2楽章だけでも十分すぎる長さと存在感をもっているため、しばしば演奏の機会を与えられている。クジェネークによる補完版(1921)もある。楽章構成や細かなアーティキュレーションにおいて次作のソナタ第16番と類似している部分がみられるため、その試作と解釈されることもあるが、決して単なる踏み台といったレベルの作品ではないだろう。特に、第1楽章の転調による色彩的な幅は、他ジャンルの後期作品における特徴のひとつにもなっている。

第1楽章:モデラート、ハ長調、4/4拍子。ソナタ形式。

いくら転調好きのシューベルトといえど、こんなにも大胆な和声付けは、これ以前のソナタに例をみないものである。ハ長調という調設定と、冒頭のユニゾンによる調的に曖昧な旋律が、あらゆる調を自由に彷徨う音楽をほのめかしている。そして、和声とともに、シンコペーションのリズムや前打音・アクセント記号による強調音が、音楽を強力に引き締めている。

第2楽章:アンダンテ、ハ短調、6/8拍子。

異なる性格をもった3つの主題から成る抒情的な楽章。

第3楽章:メヌエット。アレグレット、変イ長調、3/4拍子。

トリオ部は完成しているが、メヌエット部が、あとわずかのところで断筆している。

第4楽章:ロンド。アレグロ、ハ長調、2/4拍子。

272小節より先が空白である。非常に軽快で楽しいエピソードが詰まっている楽章なので、ことさら未完成であることが惜しまれる。

執筆者: 稲田 小絵子

楽章等 (4)

第1楽章

総演奏時間:12分10秒 

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編曲0

第2楽章

総演奏時間:10分00秒 

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第3楽章

総演奏時間:5分00秒 

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第4楽章

総演奏時間:5分00秒 

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