補筆完成は、榎政則による。
これらの未完の作品の自筆譜は、近代音楽館所蔵の他、春秋社新全集の巻末付録に写真が掲載されている。
1916年11月12日作曲
自筆譜 Ms.416
【解説】自筆譜タイトルの隣に作曲年が記載されている。
アンプロンプチュの名の通り、非常に自由なリズムで書かれている。旋律は3/4拍子にのっとって書かれているが、14小節などは非常に不思議なリズムとなっている。これらのことから音価の通り正確に演奏するのではなく、かなりルバートをかけて演奏することを意図しているのだろう。オリジナルは26小節目の途中までであり、ここまでAABAの形式を取っている。補筆では、ここからAABAAの形を一つのセクションとして、全く違う性格を持つ中間部を作った。(榎 政則)
【演奏のヒント】
ショパンのノクターンを想起させられる曲です。左手の伴奏は、5連符から始まり、3連符、16分音符の5連符など自由に音価を変化させながら満ち引きします。左右それぞれが独立し、縦割りにならずに演奏できると良いでしょう。小節線を感じさせず、大きな波を感じましょう。中間部のMeno mossoから、左手のAの音が保続される8小節間はとても静かに、右手の半音階の動きとともに時が止まったような特別な瞬間を作り出すことができます。その後、43小節からバスが動き始め、徐々に幅広く深くなっていきます。