作品概要
解説 (1)
執筆者 : 朝山 奈津子
(372 文字)
更新日:2007年7月1日
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執筆者 : 朝山 奈津子 (372 文字)
更新日:2007年7月1日
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トッカータ風導入部とアリオーゾ風アダージョ、「急速に、切り離して Presto e Staccato」と題されるフーガ、レチタティーヴォ風の推移部、そして半音階主題のフーガの4部分から成る。
最初の推移部であるアダージョは、二分の三という古めかしい書き方がされているが、テンポは決してそれほど遅いわけではない。半音階をふんだんに散りばめ、さまざまな調を渡り歩いてゆく。
続いて、全音階を順次下行するだけのフーガ主題は、バッハのものとしては珍しいほどにシンプルだが、きわめて判りやすくエネルギーに満ちている。二つ目の推移部はほとんど同じリズム形を繰り返し用いており、和声進行も短調なため、やや冗長に聞こえる。
最後のフーガは、シャコンヌ風のリズムと半音階で4度下行する主題を持つ。このテーマはまるでラメント・バスのように響き、フーガに哀愁を与えている。
執筆者:
朝山 奈津子
楽譜
楽譜一覧 (2)

バッハ集6 ケース入り
(株)春秋社
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【ミュッセ】トッカータ 嬰ヘ短調 BWV 910
Peters
Peters