シューマン, クララ : ローベルト・シューマンの主題による変奏曲 嬰ヘ短調 Op.20
Schumann, Clara : Variationen über ein Thema von Robert Schumann fis-moll Op.20
作品概要
作曲年:1853年
出版年:1854年
初出版社:Breitkopf und Härtel
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:変奏曲
総演奏時間:10分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部
(774 文字)
更新日:2010年1月1日
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執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部 (774 文字)
結婚後のクララは、父から作曲を促されなくなったこと、また家事や育児に多くの時間をとられてしまったこと、そして何より夫の音楽を弾いて紹介することに熱心になっていたことなどから、創作活動はほとんどクリスマスか誕生日の機会に限定されていた。この変奏曲もその例に漏れず、ローベルトの誕生日のために書かれたもの。この誕生日プレゼントとして縁飾りのついた紙に書かれ、きれいにリボンで結ばれた献呈用の楽譜に、クララはお決まりの言い訳がましい一文の付け加えることも忘れなかった。「愛する夫へ。1853年6月8日。再びあなたのクララから、この弱々しい試作をお贈りします。」しかし、この1853年の誕生日が、家族と過ごす最後の誕生日になろうとは誰が想像しただろうか。
美しくも悲しい嬰へ短調のテーマから、最終ヴァリエーションを除いてほぼ同じ規模の7つの変奏が繰り広げられる。和声が多彩に変化し、さまざまな装飾がなされ、ポリフォニックに扱われたりするが、どのように変奏されようとどこかの声部でテーマの主旋律がほぼそのままの形で奏でられる。
ちなみに、同じローベルトのテーマでブラームスも変奏曲を作品9として作曲し、1854年6月11日のフェーリックス誕生の直後にクララに献呈した。この第10ヴァリエーション(265-267小節)で、幼きクララの作品《ロマンスと変奏》作品3-ローベルトも《クララ・ヴィークのロマンスによる即興曲》作品5として用いた曲-の旋律をシューマン夫妻への感謝を表すために引用した。おそらくこれに刺激を受け、クララも出版の直前に最終ヴァリエーションの嬰ヘ長調に転調したコーダの内声にこの旋律を織り込んだ。(202-225小節)ローベルトの主題による彼らの2曲は、ブラームスの要請から1854年11月同時にブライトコップフ・ウント・ヘルテルから出版された。
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