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ヤナーチェク :草が茂る小道を通って

Janáček, Leoš:Po zarostlém chodníčku

作品概要

楽曲ID:319
作曲年:1901年 
出版年:1911年 
初出版社:Píša, Brno
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:27分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

執筆者 : 小崎 紘一 (851文字)

更新日:2010年1月1日
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ヤナーチェクがモラヴィアの民謡採集に取り組み、その成果が初めて如実に表されたと言える作品。民俗音楽の語法を下地にしながら、ツィンバロン(東欧地方で見られる大型の打弦楽器)を思わせる打鍵や、まだ色濃く残る機能和声とそこから食み出そうとするメロディなど、小品集ながら聴き所は少なくない。

作曲を開始して発表されるまでに数年を経ており、その間のオペラ《イェヌーファ》の上演、愛娘の逝去など、彼の身におきた出来事を結果的にドキュメントする形で編纂されてしまっている点が興味深い。「草が茂る小道」はモラヴィアはティエシーン地方にて、結婚式で花嫁がうたう詩からきている(「ああ、母のもとへ帰る道は生い茂るクローヴァーで覆われている」)。作曲家にとっての追憶が込められているタイトルである。

10曲のうち、大半のテーマは「喪失」である。後に弟子に語ったところによると、第二曲「落ち葉」は『愛の歌』、第三曲「一緒においで」は『読まれない手紙』、第六曲「言葉もなく」は『「失意の苦さ』―オペラ《イェヌーファ》がプラハで受け入れられなかった不遇―を描いている。また、第八曲「こんなにひどくおびえて」では今際の際での娘の様子を描き、終曲のタイトルは「もしみみずくを窓辺から追い払えねば、その病人は生き延びることは出来ない」というシレジア地方の古い言い伝えから取られている。どちらも死を匂わせる。

親しくした者とであろうか、第一曲「我らの夕べ」 や、教会の鐘の音が印象的な第四曲「フリーデリクの聖母マリア」、家族で出掛けた遠足第五曲「彼らはつばめのようにしゃべりたてた」など、暖かな想いでをモティーフとしたものがその中にうまく配されており、一枚のレコードを聴いているかのような印象を受ける。

第一曲 我らの夕べ

第二曲 落ち葉

第三曲 一緒においで

第四曲 フリーデリクの聖母マリア

第五曲 彼らはつばめのようにしゃべりたてた

第六曲 言葉もなく

第七曲 おやすみ

第八曲 こんなにひどくおびえて

第九曲 涙ながらに

第十曲 みみずくは飛び去らなかった

執筆者: 小崎 紘一

楽章等 (10)

我らの夕べ

総演奏時間:3分00秒 

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編曲0

落ち葉

総演奏時間:3分00秒 

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一緒においで

総演奏時間:1分30秒 

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フリーデリクの聖母マリア

総演奏時間:2分40秒 

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言葉もなく

総演奏時間:1分50秒 

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おやすみ

総演奏時間:3分30秒 

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こんなにひどくおびえて

総演奏時間:3分30秒 

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涙ながらに

総演奏時間:2分30秒 

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みみずくは飛び去らなかった

総演奏時間:4分00秒 

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楽譜0

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