close

ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第14番 「月光」 第2楽章 Op.27-2

Beethoven, Ludwig van : Sonate für Klavier Nr.14 "Sonata quasi una fantasia"(Mondscheinsonate) 2.Satz Allegretto and Trio

作品概要

楽曲ID: 30702
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:2分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展1 発展2 発展3 発展4 発展5

楽譜情報:8件
  • クリックして画像を開く
  • tab

解説 (2)

解説 : 丸山 瑶子 (490 文字)

更新日:2019年3月5日
[開く]

第2楽章 Allegretto 3/4拍子 Des-Dur

複合三部形式。両端楽章のcis-Mollに対してエンハーモニックの関係にあるDes-Durを主調としたのは、第一楽章の楽章タイプと並んで、作曲家が慣習からの逸脱を図った調選択だろう。また楽章冒頭が主調主和音の基本形ではなく、第3音Fを低音とする第一転回形で始まる点にも、和声的工夫によって極度の単純さを避けようとする姿勢が窺える。

主部の冒頭主題はレガートとスタッカートという対照的なアーティキュレーションを持つ2小節の交替から成り、ここにはop. 26の第2楽章との類似が指摘されている。冒頭8小節は直後に変化反復されるが、ここでの旋律のシンコペーションがトリオ部の旋律構造と共通し、楽章全体の統一に寄与している。

トリオ部の冒頭と末尾は属音ないし主音の保続低音によってパストラル風の性格が与えられている。これによる主和音の和声的安定は、主和音の第一転回形から始まる主部とのバランスをとる措置と考えられる。初めて保続低音が無くなる反復記号後は、右手も順次進行を含まぬ五度ないし四度の跳躍音形が連続し、前後の部分と対照を成す。

執筆者: 丸山 瑶子

演奏のヒント : 大井 和郎 (618 文字)

更新日:2025年10月9日
[開く]

この第2楽章は恐らく、34と書いてあるものの、4小節を1拍ずつ、4拍子で数える方が適切かも知れません。もしも、現在存在する多くの音源のテンポから、Allegrettoとは言え、3/4として指揮した場合、指揮が追いつかなくなるほどこの3拍子は異常に速くなってしまうからです。そのような意味の、44として数えるAllegrettoと理解します。

そしてこの楽章はまさに「弦楽4重奏」をモデルにしていることは間違い無く、そのように考えた上で演奏法を考えてみて下さい。そうすると、例えば、アーティキュレーションは、レガートとスタッカートをはっきりと分け、時にその2つが同時に進行するような、9〜12小節間などは、右手で一度切って弾き直す場所であったり、右手がレガートの時に左手がスタッカートであったり、両方の声部をリスペクトして、何とか弾きこなして下さい。

弦楽4重奏がモデルでありますので、トリオセクションのスフォルツアンドも、決してフォルテシモのような大きな音を出すのではなく、少しだけ強調する程度に留めます。

嵐の前の静けさとでも言いましょうか、この楽章は、内緒話をするように,優雅に、静かに進み、極端なフォルテは出さないようにすることも選択肢としてお考え下さい。

執筆者: 大井 和郎

参考動画&オーディション入選(3件)

瀬田 敦子
林川崇さんのお勧め, フリードマン
ピアノ・ソナタ 第14番 「月光」 第2楽章