ミヨー :とけたキャラメル(やわらかいキャラメル) Op.68
Milhaud, Darius:Caramel mou Op.68
解説 : 西原 昌樹 (557文字)
ミヨーがシミーの形式で書いた軽音楽。『とけたキャラメル』との邦題もある。1920年エクスにて作曲、オーリックに献呈された。シミー(shimmy)とは1920年代に流行した大衆音楽だが、さっそうとしたフォックス・トロットやチャールストンなどと比べるといくらかしどけなく、品くだった感じがある。1921年5月、パリのブッフ劇場(Spectacle Théâtre Bouffe)にて、ジャン・コクトーの作詞した独唱付きのジャズバンド版がヴラディミール・ゴルシュマンの指揮により初演された。黒人ダンサーのグラトン(Johnny Gratton)の舞踏もあわせて披露された。2分の2拍子、ムーヴマン・ド・シミー(シミーの動きで)、変ロ長調(調号なし)。ピアノ版もすこぶる威勢のよいもので、要所要所で迫力ある轟音が鳴り響く。ただし、実質的に上記のバンド編成のリダクションであるため、音域の広さ、声部の多さ、ジャズのストライドを思わせる左手の跳躍など独特の難しさがある。ガーシュウィンのソングブックをピアノソロで弾くときのようなセンスが求められよう。
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