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モーツァルト :ピアノ・ソナタ 第9(8)番 イ短調 K.310 K6.300d

Mozart, Wolfgang Amadeus:Sonate für Klavier Nr.9 a-moll K.310 K6.300d

作品概要

楽曲ID:293
作曲年:1778年 
出版年:1781年 
初出版社:Heina
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:18分30秒
著作権:パブリック・ドメイン
※特記事項:新モーツァルト全集では、ソナタ番号が旧来の「8番」から「9番」へと変更された。

解説 (1)

執筆者 : 岡田 安樹浩 (958文字)

更新日:2009年10月1日
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残された自筆譜(ニューヨークのピアポント・モーガン図書館所蔵)の上部右端に、「1778/パリ」と記されている他は、このソナタの成立経緯は現在も不明のままである。

モーツァルトと母アンナ・マリアの旅は、1777年9月23日にザルツブルクを発ち、ミュンヘン、アウグスブルク、マンハイムを経て、1778年3月23日にパリに到着する。この旅行の目的は、就職口を見つけることであったが、その目的が達成されることはなかった。それどころか、パリ滞在中の7月には同行していた母親が帰らぬ人となり、弱冠21歳のモーツァルトにとって大きな悲しみであったことは想像に難くない。

従来このソナタは、母親の死と関連づけて解釈されてきたが、調性が(モーツァルトには珍しく)短調であることが、自身の悲しみを反映させたものだとは、必ずしも言えない。というのも、成立時期が母親の死後であるという証拠は、どこにもないのである。

第1楽章 イ短調 4分の4拍子 ソナタ形式

「マエストーソMaestoso」の指示のもと、和音の連打の伴奏の上に付点リズムを特徴とする主要主題で楽章は開始される。副次主題(第23小節~)は平行長調で提示され、絶え間ない16分音符の動きが、移行部(第35小節~)からコーダ(第45小節~)までを支配する。

後半部分は、前半部分を終止したハ長調で開始され、主要主題の動機がホ短調、イ短調、ニ短調で展開される。移行部の動機を挟み、半音階上行から主要主題の再現(第80小節~)へ一気になだれ込む。副次主題(第104小節~)以降も主調であるイ短調となって楽章を閉じる。

第2楽章 ヘ長調 4分の3拍子 ソナタ形式

第1楽章のイ短調に対して、平行長調の下属調であるヘ長調が選択されている。

アンダンテ楽章であるが、2部分制で、属調の副次主題(第15小節~)とその主調再現(第68小節~)をもっており、明確なソナタ形式である。しかし、音階や装飾的なパッセージに彩られており、これまでのソナタの中間楽章と性格的には同様の傾向を示しているといえよう。

第3楽章 イ短調 4分の2拍子

急速なテンポ(Presto)の中で、付点4分音符+8分音符の動機が楽章全体を支配している。中間部分(第143小節~)は同主長調へ転じるが、ここでも冒頭の動機が音楽を支配している。

執筆者: 岡田 安樹浩

楽章等 (3)

第1楽章

総演奏時間:5分30秒  コンペ課題曲:E級級 ステップレベル:発展4,発展5,展開1,展開2,展開3

第2楽章

総演奏時間:10分00秒 

第3楽章

総演奏時間:3分00秒  コンペ課題曲:E級級 ステップレベル:発展4,発展5,展開1,展開2,展開3

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