モーツァルト : 2台のピアノ協奏曲 第10番 変ホ長調 K.365 K6.316a
Mozart, Wolfgang Amadeus : Konzert für 2 Klaviere und Orchester (Nr.10) Es-Dur K.365 K6.316a
作品概要
解説 (1)
執筆者 : 稲田 小絵子
(580 文字)
更新日:2008年1月1日
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執筆者 : 稲田 小絵子 (580 文字)
ザルツブルク時代に作曲された2台のピアノのための協奏曲。成立年はマンハイム・パリ旅行後の1779年(あるいは80年)と考えられているが、使用された紙質から、1775年から77年という説もある。初演に関しては不明であるが、その後ヴィーンでは、私的なものも含め、少なくとも2回の演奏会で披露している。
変ホ長調の輝かしく華やかなこの協奏曲は、姉のナンネルとの協演を想定して作曲されたと推定されている。2台のピアノはユニゾンで、あるいは旋律を分け合いながら互いに一歩も引かない活躍をみせるが、特に目立つのは、3度の音程を保ちながら同じ動きしている点であろう。当然のことながら息の合った演奏が要求される。
第1,3楽章にはモーツァルト自身によるカデンツァが残されている。
第1楽章:アレグロ、変ホ長調、4/4拍子。協奏的ソナタ形式。十六分音符の細かい音が終始動き回り、華やかに盛り上げられている。2台のピアノは4オクターヴのユニゾンによるトリルでその登場をアピールする。
第2楽章:アンダンテ、変ロ長調、3/4拍子。2台のピアノが中心となって展開する緩徐楽章。
第3楽章:ロンド。アレグロ、変ホ長調、2/4拍子。ロンド形式。愉快で親しみやすいロンド主題をもつ楽章。2台のピアノは、この楽章では、同時に異なった音型を奏する場面が多くなり、フィナーレにふさわしい幅広さを出している。