スクリャービン :エゴロワ変奏曲
Scriabin, Alexander:Variations on a Theme by Mlle Egorova
解説 : 山本 奈央 (353文字)
スクリャービンが1887年6月、15歳の時に作曲されたものである。1884年、ニコライ・ズヴェーレフにピアノを、1885年、セルゲイ・タネーエフに作曲を学び、1888年、モスクワ音楽院に入学した。献呈されたミス・エゴロワという人物については不明であり、《ピアノ協奏曲》作品20の第2楽章を除けば、ピアノ独奏曲で《変奏曲》というジャンルを作曲したのはこの作品のみである。変奏曲は、第三変奏まで展開される。重々しい主題から第一変奏は「Più lento」でありながらも16分音符の三連符が常に動き続ける。第二変奏は動きを持った左手の伴奏の上で右手のピアニスティックなパッセージが続く。第三変奏は2拍子に変化し、さらに右手が華々しく展開する。ロマン派を受け継いだスクリャービンの初期の作風を感じさせる作品である。
演奏のヒント : 山本 奈央 (312文字)
【演奏のヒント】
主題に現れる主旋律(右手部分)は、第一変奏にて左手のアクセントに現れます。第一変奏右手は16分音符で三連符が2つのまとまりですが、切れないようにレガートで弾いてください。左手は8分音符のまとまりが4つによって構成されますが、メロディーの裏拍が三和音のため、そのまま弾くと和音の大きさで旋律がぼやけてしまうのでバランスを考えて演奏するようにしましょう。第二変奏は左手の和声の移り変わりを聴くように、第41小節目「animato」と書かれているように、生き生きと旋律を弾いてください。
第三変奏は明るく華やか、軽快な変奏です。リズムをはっきりと、細かいアルペジオを煌めくように弾きクライマックスに向かってください。
エゴロワ変奏曲
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