モーツァルト : ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595
Mozart, Wolfgang Amadeus : Konzert für Klavier und Orchester Nr.27 B-Dur K.595
作品概要
作曲年:1791年
楽器編成:ピアノ協奏曲(管弦楽とピアノ)
ジャンル:協奏曲
総演奏時間:29分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
執筆者 : 稲田 小絵子
(917 文字)
更新日:2007年11月1日
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執筆者 : 稲田 小絵子 (917 文字)
モーツァルト最後のピアノ協奏曲。作品の完成は1791年1月5日だが、第1楽章の最初部分の五線紙が1788年に使用されていたものと同質であることから、ピアノ協奏曲《戴冠式》や三大交響曲と同じ時期に着手されていた可能性が考えられる。
いずれにしても、晩年の数年間、モーツァルトは失われてしまった名声の回復に奔走していた。しかし、歌劇《フィガロの結婚》や《ドン・ジョヴァンニ》の成功にもかかわらず、オーストリアの不安定な情勢も相まって、モーツァルトの音楽活動が以前のように回復することはなかった。こうした状況下で生み出されたこの協奏曲には、付点を伴った軽やかさと明るい響きはあるものの、どこか諦観にも似た穏やかさを内包している。
初演は同年3月4日、クラリネット奏者J.ベーアの演奏会において。これがモーツァルト最後の舞台となった。もっとも、すでに1月のナポリ王夫妻のヴィーン訪問を祝した演奏会のひとつにおいて、弟子のプロイヤーの独奏で初演を果たしていたという説もあるのだが。
この協奏曲の作曲家自身による第1、3楽章のカデンツァが『カデンツァ集』(アルタリア社1801年、アンドレ社1804年)の中に残っている。また第3楽章のアインガングもそこに載っているが、信憑性に疑いがある。
第1楽章:アレグロ、変ロ長調、4/4拍子。協奏的ソナタ形式。全体として落ち着いた雰囲気であるが、頻繁な転調や半音階、対位法的パッセージなどが印象的である。ところで、いくつかの楽譜(例えば旧モーツァルト全集など)では、第46小節に続く7小節が欠如していることに注意を要する。これはモーツァルトが自筆譜に記譜し忘れたのに起因するが、その後の彼の処置からして、この7小節が挿入されるのは間違いない。
第2楽章:ラルゲット、変ホ長調、2/2拍子。三部形式。つぶやくような独奏ピアノによって始まる。楽章を通して、ピアノは華麗なパッセージよりもこうした旋律を受け持っている。
第3楽章:アレグロ、変ロ長調、6/8拍子。ロンド形式。前2楽章とは雰囲気を変えて軽やかで楽しげなロンド主題で始まるが、フィナーレにふさわしい壮大さも備え、最後はトゥッティによるユニゾンで決然と曲を閉じる。
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