ラフマニノフ :エチュード(練習曲) 「音の絵」 第9番 Op.39-9 ニ長調

Rakhmaninov, Sergei Vasil'evich:Etudes-tableaux Allegro moderato. Tempo di marcia D-Dur Op.39-9

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:練習曲
総演奏時間:3分30秒

解説 (1)

解説 : 山本 明尚 (425文字)

更新日:2020年1月23日
[開く]

ラフマニノフ曰く、作品33-7と同様の「市場の場面」であると同時に、「東洋の行進曲を想起させる」という。確かに、賑々しくきらびやかな雰囲気は先行作品に近く、主部のリズムは行進曲的である。ただし、何を持って東洋的要素と言えるのかを判断するのは難しい。おそらく増2度を含む旋法の使用だろうか。この楽曲と同年の1917年に《オリエンタル・スケッチ》変ロ長調も作曲されており、そちらも照らし合わせてラフマニノフの作品に表現された東洋性を読み解くのもまた演奏解釈において興味深い試みとなるだろう。ラフマニノフにとっての「東洋的要素」は、19世紀のロシア作曲家の創作にみられるオリエンタリズム的な要素とは少し離れた場所にあるようだ。

楽曲は作品39の《音の絵》の中で唯一の長調の作品である。行進曲を連想させる主部ののち、自由に拍子が伸び縮みする、比較的落ち着きのある中間部を経て、壮麗なクライマックスを迎え、ツィクルスとしても盛大なフィナーレの役割を果たしている。

執筆者: 山本 明尚