ラフマニノフ :エチュード(練習曲)「音の絵」 第7番 Op.33-7 変ホ長調

Rakhmaninov, Sergei Vasil'evich:Etudes-tableaux Allegro con fuoco Es-Dur Op.33-7

作品概要

楽曲ID:23505
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:練習曲
総演奏時間:2分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・コンペ課題曲2024:F級級

ピティナ・ピアノステップ

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楽譜情報:3件

解説 (1)

解説 : 山本 明尚 (623文字)

更新日:2020年1月23日
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明朗で闊達な練習曲。諧謔的な短い中間部を挟み、再び朗らかな部分へと戻っていく。練習曲としての主眼は、ppからff(しかも molto marcato)まで幅広いデュナーミクで奏でられる右手の16分音符による細かな分散和音にあると思われる。
この作品は作品33の《音の絵》のうち、レスピーギにより管弦楽化され、彼宛ての手紙でラフマニノフ本人による「構想の秘密」が明かされている唯一のものである。ラフマニノフによる「市場の場面」という語りに基づき、レスピーギはこの作品の管弦楽版に「市場」という副題を与えている。作品の晴れやかな賑々しさやメリハリのあるリズムは、市場の風景やそこにいる人々の気分を想起させることは否めない。しかし、市場のイメージに対し、ラフマニノフが創作した音楽のスケール感(例えば結尾部)はあまりに大きいようにも思える。このような点から先述のケールドゥィシは、この楽曲に市場のような小さな場面を当てはまるのは不適格ではないかと疑いの目を向けている。彼によると、「ラフマニノフによる設定が常に成功裏に終わっているわけではないし、ときにその性格に音楽自体が十分に合致していないことを認めなければならない。(変ホ長調の《音の絵》の市場の場面という設定が成功しているかについては疑わしい。音楽はもっと記念碑的で荘重な場面のイメージを表現している)」のだという。まさしくプログラムのこの不明瞭さに、ラフマニノフの「音画」を解釈する難しさがある。

執筆者: 山本 明尚