ショパン :ワルツ(19曲) 第6番 「小犬のワルツ」 Op.64-1 CT212 変ニ長調
Chopin, Frederic:19 waltzes Valse No.6"Petit chien" Des-Dur Op.64-1 CT212
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:発展2
解説 : 安川 智子 (781文字)
変ニ長調 作品64-1
【作品の基本情報】
作曲年:1846~47 出版年:1847 (Paris, Leipzig)
献呈 : デルフィナ・ポトツカ伯爵夫人 A Madame la Comtesse Delphine Potocka
【楽譜所収情報】
パデレフスキ版:No. 6/エキエル版:No. 6/コルトー版:No. 6/ヘンレ版:No. 6/
ペータース版(原典版):(No. 6, 補遺4[自筆譜に基づく])
「子犬のワルツ」の愛称でよく知られる。自筆スケッチのほか、複数の自筆譜が残されている。「leggiero(軽く)」の主要主題と「sostenuto(支えるように音を保って)」の中間部による三部形式の短い楽曲である。糸玉を操るような細かい動きが特徴的な冒頭主題は、2小節で大きな3拍子を作り上げるヘミオラが用いられており、5小節目から加わる左手の3拍子との間に絡み合うリズムで複雑なテクスチュアが織り上げられる。一方、37小節目から始まる中間部は、全体としてAs(変イ)の音が支配する中、ジグザグの音型の中に半音進行を取り入れており、グラデーションのような美しい響きの変移が、この作品に深みを増している。小曲ながら細かい工夫の凝らされた名曲である。
献呈を受けたデルフィナ・ポトツカ夫人は、パリに着いて最初にショパンをもてなし、またピアノの弟子となった女性のひとりである。非常に美しく音楽的才能にも恵まれた彼女は、生涯変わらずショパンを友人として支え、また最後までショパンの音楽のよき理解者であった。ショパンは以前に《ピアノ協奏曲 第二番》作品21を彼女に献呈している。なお、1848年2月16日にプレイエル・ホールで行われたショパンのパリ最後のコンサートで、ショパンはこの変ニ長調のワルツを演奏している。
(2010年2月 安川智子 ※2014年7月改訂)
解説 : 齊藤 紀子 (249文字)
変ニ長調、モルト・ヴィヴァーチェは、デルフィーナ・ポトツカ伯爵夫人に捧げられた。ジョルジュ・サンドの飼っていたマルキという名の仔犬が自分の尻尾を追いかけてぐるぐると回る様子を見て作曲したというエピソードがあり、<仔犬のワルツ>の愛称で親しまれている。3部形式で書かれている。冒頭にレッジェーロ、中間部にソステヌートと記されていることから、タッチの変化が要求されるワルツとなっている。また、中間部では変イ音の短前打音による手法が印象的である。曲の最後は、4オクターヴを駆け下りる右手で締めくくられる。
田淵 紗恵子:2人のピアニストのための「子犬のワルツ」(原曲:ショパン)
小曽根 真:子犬のワルツ
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