チャイコフスキー : 「四季」-12の性格的描写 4月「松雪草」 Op.37bis 変ロ長調
Tchaikovsky, Pytr Il'ich : Les saisons - 12 Morceaux caracteristiques No.4 "Perce-neige" B-Dur
作品概要
解説 (1)
解説 : 山本 明尚
(527 文字)
更新日:2019年6月25日
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解説 : 山本 明尚 (527 文字)
更新日:2019年6月25日
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空色の 清らかな
雪割草の花
傍らには透き通った
なごりの淡雪
過ぎ行く哀しみに寄せる
最後の涙と
やがて訪れる幸せに寄せる
最初の夢と……
エピグラフはアポローン・マーイコフの詩集『野外で』(1857)より、「春」の全編が引かれている。
6/8拍子で書かれてこそいるが、1小節を二つに分割すると、興味深いことに、優雅なワルツであるかのように響く。長調で書かれているが、1月と同じく、しばしば強拍の伴奏を欠く書法は、ためらいや不完全さを連想させる。倚音が多用されるサロン的な旋律は、当初最上声部で提示されるが、しばしば内声へと移り変わる。やや長い中間部はニ短調で書かれており、哀愁を帯びながらも軽やかな上声が特徴的である。以上のように、主要部分にも中間部分にも、性格が統一されないアンビバレントさがある。また、強弱指示も全体として弱音に偏っており、力強さや決意のようなものは、あまり感じられない。この楽曲からは、「3月」と同じく、まだ完全に冬が明けきっていない、早春のほのかな明るさが感じられる。
執筆者:
山本 明尚
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チャイコフスキー 四季 作品37a TSCHAIKOWSKY
(株)全音楽譜出版社
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標準版 チャイコフスキー 四季
(株)音楽之友社
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チャイコフスキー 四季
(株)全音楽譜出版社
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チャイコフスキー : 四季 Op.37a/原典版
ヘンレ社(ヤマハ)
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