チャイコフスキー : 「四季」-12の性格的描写 1月「炉端で」 Op.37bis イ長調
Tchaikovsky, Pytr Il'ich : Les saisons - 12 Morceaux caracteristiques No.1 "Au coin du feu" A-Dur
作品概要
解説 (1)
解説 : 山本 明尚
(567 文字)
更新日:2019年6月25日
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解説 : 山本 明尚 (567 文字)
更新日:2019年6月25日
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そして 和やかに安らぐ片隅を
夜の薄闇が包み込む
暖炉の中 残り火は消えかかり
やがて ろうそくは燃え尽きる
エピグラフは現代ロシア語の父と呼ばれる大詩人アレクサンドル・プーシキンの詩「夢想家」(1815)より、夜の安らぎの中、消えかかる火を描写した場面。
複合三部形式。主要部はイ長調。一拍目のバスを欠く主題からは、素朴さと一抹の寂しさが感じられる。強弱と旋律の音域によって、ゆるやかに息長いアーチを描いている一方で、旋律が2音や3音のスラーによって構成されていることにも注意しなければならない。中間部ではホ短調に転調する。つかの間の眠りに落ちるような下行音型と、そこから目覚めるかのような、あるいは夢の中の景色のような即興的走句による。走句の部分では、主音こそ出てこないものの遠隔な変イ長調へと転調するような身振りもみられ、幻想的な雰囲気を引き立てている。主要部分の再現につづき、終結部が最弱音・高音で静かに曲を締めくくる。
全体として弱音を中心として構成されており、曲中の最高潮でも、音量はmfを超えることがない。p、pp、さらにはpppの繊細な表現が求められる。
執筆者:
山本 明尚
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チャイコフスキー 四季 作品37a TSCHAIKOWSKY
(株)全音楽譜出版社
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(株)音楽之友社
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ヘンレ社(ヤマハ)
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