単純な曲なのですが、テクニック的に難しい部類の曲に入ります。この曲を弾くためには、学習者は強靱な指が要求されます。右手、3 4 5 の指の力が強くないとなかなか上手には弾けません。そういう意味ではこの曲は後回しでも良いかもしれません。
テクニックとともにこの曲を演奏するにあたり、大切なことは「立体感を出す」事です。つまりは、多声的に処理をすると考えます。いくつかの素材があり、その各素材の音質を変えることで、立体感が出ます。
冒頭1-2小節目の左手と、3ー4小節目の左手は同じ素材です。1小節目の左手、全音版には、pマーキングが書かれてあります。しかしながらpの範囲内でも深い、太い音でハッキリと歌い上げるようにします。機械的には弾きません。この左手1ー4小節間をカンタービレで歌い上げ、3小節目と5小節目の右手はもう1つの素材です。筆者の個人的な意見になりますが、この3と5小節目の右手はppでスタッカートで、軽く弾くと、左手との対比ができるので、ハッキリと別素材として聞かすことが出来ます。この右手のスタッカート、3度の下行形は、「子供の集会」が正しい訳とするのであれば、子供笑い声と考えても良いでしょう。
5小節目、フォルテの位置に注意します。フォルテは3拍目からで、1拍目はpで終わることを忘れないで下さい。
さて、7小節目から主題が始まりますが、左手のラインに注目してみましょう。7ー10小節間の左手はメロディーとは言えないラインかも知れませんが、さながらチェロのようにスムーズにレガートで歌い上げましょう。そして、7小節目からの右手は12小節目まで3度の進行になりますが、top(上の音)を極力出すように心がけましょう。
そして要注意しなければならないのは右手のアーティキュレーションです。これをどうするか考えてみましょう。7小節目、1ー2拍、3ー4拍と、2つのスラーが書かれていますので、2拍目から3拍目は特につなげなければならないことは無く、またどうしても切らなければならないことも無いと思います。ここは奏者の自由ですが、7小節目の3拍目から8小節目の1拍目までは1つのフレーズとして書かれていますね。その際に、この全音版の指番号を素直に使うとどうしても7小節目最後の音である、FAから、8小節目の最初の音である、EGに繋ぐことが出来なくなります。そこで8小節目の最初の音であるEGは指番号2-1を使うと7小節目からレガートで繋ぐことが可能になります。
そして8小節目、そうすると仮に2ー1で終わった場合、この1小節間を指だけでレガートにするのは不可能ですので、ペダルを用います。2ー1のところで一瞬だけペダルを踏み、2拍目の3-1まで切れないようにします。このような具合で、ペダルを上手に使って右手のラインが切れないようにして下さい。もちろん10小節目のような箇所はペダルは一切入れません。
ペダルが特に必要となってくるのは13小節目の様に、6度のパッセージが出てくるところです。6度の場合、下の音も上の音も両方とも繋ぐのは不可能です。ペダルを使って下さい。
そして14小節目、1拍目でメロディーが終わると考え、2ー3拍間はまた別の素材と考えます。故に、この2ー3拍間、ppで弾くと素材の区別を付けることが出来ます。
ご参考まで。