ペヤチェヴィチ :2つのノクターン Op.50
Pejačević, Dora:2 Nocturnes Op.50
解説 : 西井 葉子 (620文字)
2曲とも、長い間、出版されることなく、4つの手稿が残されている状態であったが、1978年にクロアチア音楽協会(Hrvatski Glazveni Zavod)から出版された。第1番の最初の手稿には、1918年7月20-21日の日付とともに、ドラの親友のピアニスト、アリス・リッパーへの献呈の表記があるが、2番目の手稿は、後にドラの夫となるオットマル・フォン・ルンベの妹、ローザ・ルンベ−ムラドータ(Rosa Lumbe-Mladota)に献呈されている。ドラは、このローザへの手紙の中で、第1番は、暗い池を月が優しく照らし、秋の到来を感じて、モミの木が震え、しだれ柳が波打っている静かな雰囲気、第2番は、白樺の木を月が照らし、ジャスミンやリラの香りが漂う中、愛を告げるナイチンゲールの歌声も聞こえてくる夢見心地の甘美な5月の夜の印象を描いたもので、どちらもノクターンの雰囲気でありながら、異なる情景を描いていると説明している。また、その手紙によると、第2番は、1920年5月27日の夜10時から11時の間に作曲されたようである。最後の手稿には、2曲ともに、それぞれの雰囲気を描写した、ドイツ語による彼女の自作の詩が添えられている。彼女の故郷ナシツェのペヤチェヴィッチ伯爵邸の敷地内の池や庭園の雰囲気が映し出されたような作品であり、彼女の作品の中でも最も詩的で洗練され、完成度の高い作品である。
第1番 Op. 50-1
第2番 Op. 50-2
第1番
動画1
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第2番
動画2
2つのノクターン 第2番
2つのノクターン 第1番
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