ホーム > ピアノ曲事典 > ベートーヴェン > ピアノ三重奏曲 第1番  変ホ長調

ベートーヴェン :ピアノ三重奏曲 第1番  Op.1-1 No.1 変ホ長調

Beethoven, Ludwig van:Klaviertrio Nr.1 Es-Dur Op.1-1 No.1

作品概要

作曲年:1793年 
出版年:1795年 
初出版社:Artaria
楽器編成:室内楽 
ジャンル:室内楽
総演奏時間:34分40秒

解説 (1)

執筆者 : 丸山 瑶子 (1437文字)

更新日:2011年8月17日
[開く]

正確な成立時期は不明だが、スケッチ研究の成果から第1番はボン時代に作曲され、ヴィーンで改訂されたと推定されている。本作品は当時のピアノ・トリオには異例の4楽章構成をとり、作曲家の自負の現れか、既にOp. 1とされたWoO 40とは別に改めて作品番号1を持ち、《Grand Trio 》として広告が出された。献呈先は師のハイドンではなくリヒノウスキーであり、作曲家の一筋縄にいかぬ性格が伺える。

第1楽章はソナタ形式。主要主題では前楽節のスタッカートや分散和音上行と後楽節のスラー付きの下行旋律がバランスを取る。副主題群冒頭は主要主題前楽節の和音進行を思わせるホモフォニックな楽節。繰返しで和音進行を装飾するヴァイオリンの8分音符のリズムは後続楽段との自然な繋がりを生む。

展開部は主要主題の分散和音動機、副主題後半の上行音階を伴う2小節の旋律音形、コデッタの2度進行と、呈示部の素材が順に活用される。

再現部では和声やリズムの変化(第205、213-214、228小節)が呈示部より安定性を低め、音楽を長大なコーダへと促す推進力となっているようだ。コーダでは、展開部に現れずにいた副主題群の冒頭楽節を用いた転調、楽章内で最も切迫した分散和音動機の応答というように、展開部と並ぶほどに素材が加工される。

ロンド形式の第2楽章では弦楽器、特にチェロの自立性が注目される。確かに回帰する主題の変奏や装飾的な音形の殆どを担うピアノの優位性はまだ高い。しかし第1エピソードではピアノ伴奏上で弦楽器が旋律を呼応し、転調が集中する第2エピソードでは3つの楽器が主旋律声部を交替するに従って調が移り行く。またコーダではチェロが主題の断片を導入するなど各楽器が旋律として十分に聴かせどころを持つ。

第3楽章は冒頭の刺繍音形が全体を支配する活発なスケルツォと、弦楽器の和音上でピアノが滑らかに動くトリオが対照的。冒頭のモットー動機に1小節1拍と数えられる長い音価の順次進行が続く、というスケルツォ冒頭と同じタイプの楽節は、同じくボン時代の作品を改訂したOp. 4の第3楽章にもある。スケルツォでは、隣り合う多くの楽段の始めと終わりの小節が重なり、音楽が次々に思うまま変転するように淀みなく進む。また楽章冒頭で半音進行が楽章の調性をぼかすこと、中間部冒頭で3声の模倣となると思いきや、ヴァイオリンの真の主題呈示は4小節遅れることなども、楽章の奇想的な性格の一因だろう。

終楽章は、冒頭の跳躍音形、推移部の弱拍と強拍を繋ぐ2音の動機(第38小節~)、ターンや刺繍音形の連続(第94小節~、第104小節~)、コデッタの倚音からの2度下行などが推進力を生む、躍動感に溢れた楽章である。

展開部は属調平行調で始まり、冒頭主題、終結主題、推移部のリズムを利用した音階下行というように呈示部の素材が続いた後、後半では半音中心の弦楽器の進行とピアノの分散和音の連続となり、最後に主調の属和音が引き延ばされて再現部が準備される。

再現部では副主題の終りの分散和音動機がリズムを縮小していき、コーダに入る。跳躍動機の連続に続き、第1楽章と同じく展開部に現れなかった副主題の楽節に基づいて転調していく。その後、展開部の後半、終結主題とその変形を経て再び跳躍動機が回帰し、最後は主調のカデンツが繰り返されて楽章が終わる。コーダは長さ、素材の多様性、半音階を介したホ長調と変ホ長調の衝撃的な転調などの点で展開部以上に充実した内容を持つ。

執筆者: 丸山 瑶子

楽章等 (4)

アレグロ

総演奏時間:11分00秒 

解説(0)

楽譜(0)

アダージョ・カンタービレ

総演奏時間:9分00秒 

解説(0)

楽譜(0)

スケルツォ

総演奏時間:5分50秒 

解説(0)

楽譜(0)

フィナーレ

総演奏時間:8分50秒 

解説(0)

楽譜(0)

ピティナのYoutubeチャンネル (4)

その他の音源・動画 (0)

現在視聴できる動画はありません。