ベートーヴェン : モーツァルトの「フィガロの結婚」から「もし伯爵様が踊るのなら」の主題による12の変奏曲 ヘ長調 WoO 40
Beethoven, Ludwig van : 12 Variationen über das Thema "Se vuol ballare" aus Mozarts "Le Nozze di Figaro" F-Dur WoO 40
作品概要
作曲年:1792年
出版年:1793年
初出版社:Artaria
楽器編成:室内楽
ジャンル:変奏曲
総演奏時間:11分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
解説 : 丸山 瑶子
(524 文字)
更新日:2020年7月28日
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解説 : 丸山 瑶子 (524 文字)
献呈 エレオノーレ・ブリギッテ・フォン・ブロイニング
初版 ウィーンのアルタリア社(1793年)
1792年、まだボンにいるうちにスケッチが始まり、翌年ヴィーンで完成・出版された。ベートーヴェンは宮廷楽団員として国民劇場における《フィガロの結婚》のボン初演に参加した経験からこの主題を選んだのだろう。彼はボンで世話になったブロイニング家の長女であるエレオノーレに、ヴィーンからの手紙で作品の献呈を伝えた。
初版の表紙には作品番号1(Oeuvre I)が記され、ヴァイオリンはアド・リビトゥムになっていた。しかし後の刷りでまずヴァイオリンが「オブリガート」になり、さらにピアノ三重奏曲op. 1の出版後、作品番号は単なる「NroI」に変更された。
主題は12+8小節(a a b|: c :|)の二部形式で、第6, 7変奏がミノーレ、そして最終変奏の後に62小節の長いコーダがつく。関連資料の状況から本作品にはピアノ独奏稿が先行したという説もあるが、ヴァイオリンが変奏全体の主声部を担う第6変奏をはじめとして両声部が対等関係の箇所も多い。全体的にピアノが主体の部分が目立つとはいえ、作曲時にヴァイオリンがアド・リビトゥムと考えられていたとは想像しにくい。