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ベートーヴェン : 4手のための大フーガ 変ロ長調 Op.134 Hess 86

Beethoven, Ludwig van : Grosse Fuge für 4 Händen B-Dur Op.134 Hess 86

作品概要

楽曲ID:15896
作曲年:1825年 
出版年:1827年
初出版社:Artaria
楽器編成:ピアノ合奏曲 
ジャンル:トランスクリプション
総演奏時間:15分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
※特記事項:弦楽四重奏曲第13番のフィナーレとして構想され、後に独立した楽曲となった「大フーガ」の作曲者自身校正による4手ピアノ編曲版。

解説 (2)

総説 : 丸山 瑶子 (514 文字)

更新日:2014年1月20日
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この4手ピアノのための編曲は、第三者が編曲した稿を、ベートーヴェンが編曲し直したものである(成立背景参照)。原曲のOp. 133自体の成立背景もやや特異な事情があるが、Op. 134の出版にも無関係ではないので、原曲の成立過程についても少し触れておこう。Op. 133は元々、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲Op. 130の終楽章として書かれた。しかし音楽があまりに難解であり、また《大フーガ》を終楽章とすると作品全体が巨大すぎてしまうために、楽譜の売れ行きを心配した出版社アルタリアの依頼でOp. 130には《大フーガ》とは別に新しい終楽章が書かれ、Op. 133は単独作品として出版された。原曲は1825年3月から12月、編曲は1826年8月半ばから9月にかけて書かれた。初版は、原曲、4手ピアノ編曲稿同時に、ウィーンのアルタリア社から出版。

創作後期のベートーヴェンは、ピアノ・ソナタに代表されるようにフーガに対して高い関心を寄せていた。《大フーガ》もそれら一連の取り組みの一つと位置付けられるだろう。

Allegroとmeno mosso e moderatoの盛んなテンポ交替も、後期弦楽四重奏曲の特徴の一つに数えいれられる。

執筆者: 丸山 瑶子

成立背景 : 丸山 瑶子 (438 文字)

更新日:2014年1月20日
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ベートーヴェンの自作編曲成立までの経緯は、少々込み入っている。編曲は当時、出版利益を上げるための有効な手段であったため、アルタリアが編曲版を計画したことも利益向上のためと考えられている。しかし、当初はベートーヴェンが自ら編曲するのではなく、一度アントン・ハルムというピアニスト兼作曲家に委託されていた。

ところがベートーヴェンはハルムによる編曲稿を不満としてけちをつける。そして結果的に、一度ハルムが編曲稿を完成させたにもかかわらず、ベートーヴェンは自発的に《大フーガ》の編曲をあらためて行い、Op. 134と独自の作品番号を持つ作曲者自身の編曲稿が成立した。

それ以前にも、ベートーヴェンの数々の言動や、彼がピアノ三重奏作品1第3番の他人による編曲に手を入れて編曲し直したこと、ピアノ・ソナタ第9番の弦楽四重奏編曲Hess 34の独創的な編曲技法など、ベートーヴェンは様々な形で自作の編曲にこだわる姿勢を見せている。ハルムの編曲を拒否したのも、このひとつに数えいれられるだろう。

執筆者: 丸山 瑶子
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