1922年から1925年にかけて作曲された。ジュリエット・ミールヴィツの思い出に捧げられている。ヴィルトゥオーソが好む、演奏効果の高い作品の1つである。1924年に、最初の2曲のみの形で初演が行われており、組曲の全体が披露されたのは、1926年3月のことであった。この時に演奏したのはマルセル・メイエルである。
第1曲目 <舟歌> 8分の12拍子=4分の4拍子
短いモティーフの繰り返しを中心としながら、その合い間に、音階的な音の動きや音価が長く音程幅の広い音の素材が挿入される。終結近くになると、長く保持している音の上で旋回するかのような音形が繰り返される。響きの移ろいも味わえる「舟歌」となっている。
第2曲目 <夜想曲> 8分の6拍子
主として、3段譜で書かれている。最上段もしくは最下段が夜想曲のメロディーになっており、その他の2段に記された分散和音や音価の長い音が、和声の響きを生み出す。
第3曲目 <イタリア奇想曲> 8分の2拍子=16分の6拍子
組曲を締めくくるこの曲は、まさしくヴィルトゥオーソ好みの曲風をもつ。ほぼ無窮動であるが、覚えやすい音の並びによるモティーフを何度も繰り返し、所々に「決めの和音」が置かれている。