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モーツァルト : アダージョ ロ短調 K.540

Mozart, Wolfgang Amadeus : Adagio h-moll K.540

作品概要

楽曲ID: 1428
作曲年:1788年 
出版年:1788年
初出版社:Hoffmeister
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:種々の作品
総演奏時間:14分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (2)

演奏のヒント : 大井 和郎 (795 文字)

更新日:2025年10月9日
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この曲は、弦楽器をイメージして、弦楽器のアンサンブルと考える考え方でも構いません。従って、弦楽器なら十分伸ばせる音でも、ピアノで弾くと、弦楽器の様に音を伸ばし続ける事が出来ず、結果若干速めのテンポの方が綺麗に横に流れるかも知れません。あとから出てくる32分音符が、急いだ感じに聞こえないテンポ設定であれば良いでしょう。

次に強弱記号に関してですが、筆者の観ている楽譜には、基本的な強弱マーキングとして、フォルテ、メゾフォルテ、ピアノ の3種類のマーキングが書いてあります。版によっても異なるかも知れません。このモーツアルトの「演奏のヒント」でも何度も述べているように、強弱記号を鵜呑みにしないこと。これが大切です。例えば3小節目、左手の16分音符にフォルテが書いてあるからと言って、ガンガン叩いてしまってはいけません。3小節目の12拍間が大きめのアンサンブル、34拍間が小さめのアンサンブルと考え、ベートーヴェンのように、突如フォルテ、突如ピアノ、というような意味ではありません。そして、弦楽器をイメージしたときに、そこまで硬い音は必要ではなく、フォルテでも、丸みのある、柔らかな、弦楽器特有のフォルテが欲しく、打楽器的、あるいは金管的なフォルテではありません。

そして3小節目のように、フォルテが書かれてあっても、伴奏は伴奏、旋律は旋律とバランスを取る事を考えると、16分音符は決して大きすぎる音量では無く、気持ち的に大きくても、物理的にはそこまで大きくない、丸みのあるフォルテが欲しい所です。

21小節目のカデンツも同じです。tuttiと言っても、弦の円やかなフォルテが欲しく、硬い音にならないように注意します。

執筆者: 大井 和郎

執筆者 : 齊藤 紀子 (213 文字)

更新日:2008年2月1日
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1788年に作曲された。よく親しまれているハ長調のピアノ・ソナタ(K. 545)が作曲されたのも、この年のことである。アダージョの4分の4拍子、ロ短調で書かれている。また、3部形式の形をとっており、中間部では、冒頭のテーマがト長調で展開される。主要テーマは、半小節遅れて左手が入り、左右の手が並進行をすることが特徴的である。そして、曲全体を通して、ゆったりとしたアダージョの音楽の流れの中に、細やかな音価が散りばめられている。

執筆者: 齊藤 紀子