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モーツァルト : アレグロ ト短調 K.312 K6.590d

Mozart, Wolfgang Amadeus : Allegro g-moll K.312 K6.590d

作品概要

楽曲ID: 1402
作曲年:1790年 
出版年:1805年
初出版社:Magasin de l'imprimerie chimique
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:種々の作品
総演奏時間:5分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (666 文字)

更新日:2025年10月9日
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モーツァルトの書く短調の曲は、とてもドラマティックな場合が多く、この曲も典型的ですので、学習者はこの短いドラマに含まれている喜怒哀楽を十分に表現してほしいです。オーケストラのtuttiに当たる部分は明白ですので、詳しくは述べませんが、例えば冒頭6小節間などは、最後の最後までフォルテを保ち、1つのアンサンブルのセクションである事を示します。

712小節間、別の小規模のアンサンブルと考えます。7小節目のEs8小節目のDが解決音になりますので、DEsよりも弱い音を弾きます。このDは次の8分音符Bと同じフレーズではなく、Bは新たなフレーズの最初の音と考えます。

20〜21小節間、左手のオクターブ、Fisは、チェロとコントラバスと考えます。もしも自分がコントラバス奏者で、パート譜を渡され、Fis  Gが書いてあったら、FisからGは切れ目無く繋ぐはずです。切る必要が無いのです。そう考えると、それがたとえピアノで弾かれても、切れる必要はありませんので、何とかして繋ぎます。

上記の例のように、ピアノの為に書かれたピアノ譜でも、オーケストラやアンサンブルと考え、音楽を縦では無く、横に考えるようにします。1つの声部は次にどこに行くのか、どこまでがフレーズなのか、1つの楽器、あるいは1つのアンサンブルと聴かせるにはどのような工夫が必要か、考えてみて下さい。

執筆者: 大井 和郎