[第1楽章]アレグレット Allegretto 3/4拍子、ソナタ形式、ホ調。提示部の終わりはホルンのソロによって、再現部の終わり(楽章全体の終止)はフルートソロによって告げられるなど、非常に明確な形式的特徴を持つ。その一方で、提示部ではユニゾンだった第一主題が再現部ではポリフォニックになるなど、ソナタ形式という枠が最大限に活かされている。調号は用いられず、旋律の基音が移ろってゆくことで転調のような音響の変化がもたらされているが、いわゆる全音階の導音(E音に対するD♯音など)は回避されている。
[第2楽章]アダージョ・レリジオーソ Adagio religioso 4/4拍子、ハ長調。対照的な中間部を持つ三部形式。AおよびA'部分は明確なハ長調で、宗教的な性格を帯びている。A部分ではピアノパートにあったコラール風の和音の連なりは、A'部分ではオーケストラに明け渡され、ピアノパートはフーガを奏でる。B部分は調が定まらない上、ピアノおよび管楽器による装飾的な音型が目立つ。ここで現れるフルートの音型は、バルトークがノースカロライナ州で聴いたワキアカトウヒチョウの鳴き声を模倣したものであったと、息子ペーテル宛の手紙等から判明している。
[第3楽章]アレグロ・ヴィヴァーチェ Allegro Vivace 3/8拍子、自由なロンド形式、ホ調。3拍子の性急なロンドであり、シンコペーションのリズムが際立つロンド主題と、旋律的な挿入句が対比されている。多くのロンド楽章はA-B-A-C-A-B-Aの形式を取るが、この楽章は挿入句が毎度異なるA-B-A-C-A-D-Aの形を取っている。B部分はC♯音を基音にしたフーガとなっており、ピアノのソロからトゥッティへと発展する。C部分はその中でさらに3部形式となっており、B♭音を基音とした牧歌風の旋律が曲調を和らげる。D部分は非常に短く、独立した旋律線を持つというよりは最後のロンド主題を導くコーダ的な役割を担っている。