メンデルスゾーン : 6つの前奏曲とフーガ Op.35 U 116, 66, 129, 105, 131, 91, 122, 108, 126, 106, 135, 128
Mendelssohn, Felix : Präludium und Fügen Op.35 U 116, 66, 129, 105, 131, 91, 122, 108, 126, 106, 135, 128
作品概要
解説 (1)
執筆者 : 和田 真由子
(1420 文字)
更新日:2007年10月1日
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執筆者 : 和田 真由子 (1420 文字)
メンデルスゾーンはバッハへ深く傾倒しており、この作品も、バッハの作品に習ってかかれている。1827年に作曲が完成、出版された。とりわけ4番以降は、ロマン派的な要素が強くなっているが、ロマン派の時代に生きたメンデルスゾーンが、バッハのフーガをどのように聴いていたのか(どのような要素を重視して聴いていたのか)、メンデルスゾーンとバッハ、それぞれの作品を比較してみると面白いかもしれない。
1.ホ短調・ホ長調 / op.35-1 e moll・E dur
プレリュード ホ短調(1837):両手でとりわける分散和音が波のような響きを作り、その上で、中声部の叙情的な旋律が非常に美しく歌われる。
フーガ ホ短調→ホ長調(1827):4声体で構成されている。まず、主題がバスに提示されて、それらが模倣されながら、曲は穏やかに進む。
後半ではテンポを徐々に加速させていく。主題の転回形などを用いながら、華々しく展開していくが、その手法は、ロマン派的な印象をうける。終結部ではコラール旋律が重音で壮麗に響き、フーガ主題が穏やかに再現されたのち、静かに曲を閉じる。
2.ニ長調 / op.35-2 D dur
プレリュード ニ長調(1836):オクターブのスタッカートできざまれる左手の伴奏にのせて、右手の2声の旋律が優しく歌われる。右手でのソプラノのフレージングに、アルトのフレージングが連動しないように注意したい。
フーガ ニ長調(1835):曲全体を通して、旋律が静かに、たっぷりとうたわれる。
3.ロ短調 / op.35-3 h moll
プレリュード ロ短調(1837):8分の12拍子。左右の手が平行、反行の形でスタッカートの旋律を奏する。同じ調子で、緊張感をもったまま、曲は最後まで進む。ppからffの変化を効果的にきかせ、曲に変化をもたせたい。
フーガ ロ短調(1832):付点のリズムが用いられたバロック風のフーガ。後半に行くにつれて、和音の使用が目立ち、曲の盛り上がりとともに、響きに厚みを与えている。
4.変イ長調 / op.35-4 As dur
プレリュード 変イ長調(1837):左手の六連音符のおだやかな伴奏にのせて、右手で2つの声部が叙情的に歌われる。
フーガ 変イ長調(1835):穏やかな主題が4声体で対位法的に歌われていく。ロマン派的な色彩が強くなっている。
5.ヘ短調 / op.35-5 f moll
プレリュード ヘ短調(1836):無言歌の性格をもっており、左右の手でひかれる和音の伴奏の上で、哀愁を帯びた旋律がたっぷりと歌われていく。伴奏の和音は、ひかえめに、しかし、きめ細やかなデュナーミクによって変化つけていくとよいだろう。
フーガ ヘ短調(1824):反復する音、音型、スケール、それぞれのモティーフが巧みに組み合わされ、それらが同時に展開を繰り返しながら曲はクライマックスに向かって突き進んでいく。この5番は、6曲中、演奏される機会が比較的多い。
6.変ロ長調 / op.35-6 B dur
プレリュード 変ロ長調(1837):左手で上行する和音がつくりあげる豊かな響きにのせて、右手で、和音を用いながらたっぷりと旋律が歌われる。第5曲と同様に、無言歌風の性格をもっている。
フーガ 変ロ長調(1836):16分音符の上行形の音型と、付点のリズムパターンがたくみに組み合わされながら、ラストのクライマックスに向けて力強く展開していく。
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