シマノフスキ 1882-1937 Szymanowski, Karol Maciej
解説:PWM Edition(翻訳:平岩 理恵) (3513文字)
更新日:2022年9月30日
解説:PWM Edition(翻訳:平岩 理恵) (3513文字)
カロル・シマノフスキ Karol Szymanowski
(1882年ティモシュフカ[ポーランド/ウクライナ]~1937年ローザンヌ[スイス])
カロル・シマノフスキは、ポーランドのピアニスト、作曲家。〈若きポーランド〉を代表するポーランドの最も優れた作曲家の一人。1889年から父親の指導のもと音楽教育を受け始め、その後エリザベトグラード、ついでワルシャワで音楽を専門的に学んだ。彼にとっての主要な楽器はピアノだったが、ヴィルトゥオーゾと認められることはなかった。1905年に音楽を学び終えると、詩人スタニスワフ・イグナツィ・ヴィトキェーヴィチとともにイタリアに渡り、後に音楽分野の〈若きポーランド〉と呼ばれるメンバーからなる「若きポーランド人作曲家の出版社」を創設した。
1906年には、ワルシャワとベルリンで同社による演奏会活動が開始される。シマノフスキは以降何年にもわたりベルリンやライプツィヒを幾度となく訪れ、08年にはイタリアへも足を伸ばした。1912年、ウィーンを拠点に定めると、出版社ユニヴァーサル・エディションと協力関係を結んだ。同社からは今日に至るまでシマノフスキの作品の一部が刊行されている。1914年から22年にかけて、イタリア、フランス、イギリス、ロシア、北アフリカ、アメリカを旅した。第一次世界大戦後、1922年に初めてザコパネを訪問、同地に何度も足を運ぶうちにポーランドのフォークロアに関する知見を広めた。1927年から32年にかけて、シマノフスキはワルシャワ音楽院(30年「ワルシャワ高等音楽学校」に改編)の学長を務めた。1930年以降、彼はザコパネの別荘「アトマ」に居を定めた。建物は現在も彼の作品を専門的に紹介する博物館としての役割を担っている。
シマノフスキは1933年から36年にかけてヨーロッパ各地で演奏会を催行したが、度重なる旅行により健康を損ない、ついに結核を患うにいたった。晩年はフランスやスイスのサナトリウムを数回にわたり訪れている。1937年、ローザンヌで没した。
カロル・シマノフスキの作品は後期ロマン派の伝統に根ざししつつも、印象派の影響も多く聴くことができる。《狂ったムアッジンの歌》に代表されるような、北アフリカ訪問により得たオリエントの影響が作品に取り入れられたほか、ザコパネに頻繁に滞在する中で見聞を深めたポーランドの伝統的なフォークロアの要素は《クルピェ地方の歌》、バレエ《ハルナシェ》などの作品において見事に融合されている。彼の創作は、初期においては《ピアノのための前奏曲》などの器楽曲が多くを占め、また後期にはオペラを含む管弦楽曲や声楽を含む器楽曲が中心となっている。
<主要作品>
ピアノのための《9つの前奏曲》作品1(1899~1900年)
カジミェシュ・テトマイエルの詩による独唱とピアノのための《6つの歌曲》(1900~02年)
ピアノのための《4つの練習曲》作品4(1900~02年)
ピアノのための《ポーランドの民謡の主題による変奏曲》ロ短調,作品10(1900~04年)
ピアノのための《変奏曲 変ロ短調》作品3(1910~03年)
独唱とピアノのための《ヤン・カスプローヴィチの詩物語より3つの断章》作品5(1902年)
《ピアノソナタ第1番》ハ短調,作品8(1903~04年)
ヤン・カスプローヴィチの詩による独唱と管弦楽のための《サロメ》作品6(1904年)
ヴァツワフ・ベレントの詩による独唱とピアノのための歌曲《白鳥》作品7(1904年)
ヴァイオリンとピアノのための《ソナタ ニ短調》作品9(1904年)
タデウシュ・ミチンスキの詩による独唱とピアノのための《4つの歌曲》作品11(1904~05年)
管弦楽のための《演奏会用序曲》ホ長調,作品12(1904~05年)
ピアノのための《幻想曲 ハ長調》作品14(1905年)
独唱とピアノのための《5つの歌曲》作品13(1905~07年)
ピアノのための《前奏曲とフーガ 嬰ハ短調》(1905~09年)
《交響曲第1番》ヘ短調,作品15(1906~07年)
ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための《三重奏曲》作品16(1907年)
独唱とピアノのための《12の歌曲》作品17(1907年)
スタニスワフ・ヴィスピャンスキの詩による独唱と管弦楽のための歌曲《ペンテシレア》作品18(1908年)
喜歌劇《夫をめぐる宝くじ》全3幕(1908~09年)
タデウシュ・ミチンスキの詩による独唱とピアノのための《6つの歌曲》作品20(1909年)
《交響曲第2番 変ロ長調》作品19(1909~10年)
独唱とピアノのための《色とりどりの歌》作品22(1910年)
ヴァイオリンとピアノのための《ロマンス ニ長調》作品23(1910年)
《ピアノソナタ第2番》イ長調,作品21(1910~11年)
独唱とピアノのための《ハーフェズの愛の歌》作品24(1911年)
歌劇《ハギート》全1幕,作品25(1912~13年)
独唱と管弦楽のための《ハーフェズの愛の歌》作品26(1914年)
テノール(またはソプラノ)独唱、混声合唱、管弦楽のための《交響曲第3番「夜の歌」》作品27(1914~16年)
ヴァイオリンとピアノのための《ノクターンとタランテラ》作品28(1915年)
ピアノのための3つの詩物語《メトープ》作品29(1915年)
ヴァイオリンとピアノのための3つの詩物語《神話》作品30(1915年)
独唱とピアノのための《おとぎ話のお姫さまの歌》作品31(1915年)
ディミトル・ダヴィドフの詩による独唱とピアノのための《3つの歌曲》作品32(1915年)
ピアノのための《仮面》全3曲,作品34(1915~16年)
ピアノのための《12の練習曲》作品33(1916年)
《ヴァイオリン協奏曲第1番》作品35(1916年)
《ピアノソナタ第3番》作品36(1917年)
《弦楽四重奏第1番》作品37(1917年)
アルト独唱、女声合唱、管弦楽のための《デーメーテール》作品37b(1917年)
アルト独唱、女声合唱、管弦楽のための《アガウエー》作品38(1917年)
ヴァイオリンとピアノのための《パガニーニの3つのカプリス》作品40(1918年)
ラビンドラナート・タゴールの詩による独唱とピアノのための《4つの歌曲》作品41(1918年)
ソプラノ独唱とピアノのための《狂ったムアッジンの歌》作品42(1918年)
歌劇《ルッジェーロ王》全3幕,作品46(1918~24年)
管弦楽のためのパントマイム《マンドラゴラ》作品43(1920年)
管弦楽のための《荘重な行進曲》(1920年)
ユリアン・トゥヴィムの詩による独唱とピアノのための5つの歌曲《スウォピェヴニェ》作品46b(1921年)
独唱とピアノのための《3つの子守歌》作品48(1922年)
カジミェラ・イワコヴィチュヴナの詩による独唱とピアノのための20の歌曲《こどものうた》作品49(1922~23年)
テノール独唱、混声合唱、管弦楽のためのバレエ=パントマイム《ハルナシェ》全3場,作品55(1923~31年)
独唱とピアノのための山岳民の歌《若き山人たちは歌いながら谷へ行く》(1924年)
ピアノのための《20のマズルカ》作品50(1924~25年)
独唱とピアノのための《2つのバスク地方の歌》作品44(1925年)
タデウシュ・ミチンスキの劇詩第5幕のための音楽《ポチョムキン号》作品51(1925年)
ヴァイオリンとピアノのための《子守歌》作品52(1925年)
3声の独唱、混声合唱、管弦楽のための《スターバト・マーテル》作品53(1925~26年)
ジェイムズ・ジョイスの詩による独唱とピアノのための《4つの歌曲》作品54(1926年)
《弦楽四重奏第2番》作品56(1927年)
独唱とピアノのための《ヴォカリーズ=エチュード》(1928年)
無伴奏混声合唱のための《6つのクルピェ地方の歌》(1928~29年)
スタニスワフ・ヴィスピャンスキの訳詩によるソプラノ独唱、混声合唱、オルガン、管弦楽のための《ヴェニ・クレアトル》作品57(1930年)
独唱とピアノのための《クルピェ地方の歌》作品58(1930~32年)
ソプラノ独唱、女声合唱、管弦楽のための《聖母マリアへの連祷》2つの断章,作品59(1930~33年)
ピアノと管弦楽のための《交響曲第4番(シンフォニー・コンチェルタンテ)》作品60(1932年)
《ヴァイオリン協奏曲第2番》作品61(1932~33年)
ピアノのための《2つのマズルカ》作品62(1933~34年)
作品(20)
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