モーツァルト : 42の小品「ロンドン・スケッチブック」 1. アレグロ K.15a K6.15a-15ss ヘ長調
Mozart, Wolfgang Amadeus : 42 Stücke "Londoner Skizzenbuch" Allegro F-Dur K.15a
作品概要
解説 (2)
演奏のヒント : 大井 和郎
(561 文字)
更新日:2024年5月14日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (561 文字)
一見、音楽的にも技術的にも簡単な曲に見えるかも知れませんが、この曲をきちんと弾くには、多くの、モーツァルトに関する知識やオペラの鑑賞経験が必要となります。モーツァルトの曲は、オペラ的要素が強い曲が多いのですが、この曲も同じです。オペラの1つのシーンと考えます。
そのオペラは決して深刻なストーリーではなく、明るく、楽天的なムードで演奏したいところです。眉間にしわを寄せて演奏するのではなく、笑顔で演奏する曲と考えて、そのようなアイデアを持って、そのような気持ちで弾いて下さい。
例えば、1つ目のフレーズは1~6小節間と考えますが、3小節目、右手のBがピークポイントと考え、そこから徐々に衰退します。そうするとそれまでの1~2小節間はクレシェンドをかけて3小節目に向かうのですが、大事なことは、どのような心理状態であるか想像することです。これはとても楽しく、期待に満ちた曲ですので、1~2小節間は、同じ音が続きますが、気持ちが徐々に高まる様子を描写しています。ですから、1小節目、Cが3つ、その下のFとAも変わりませんが、そこだけを聴いても、どこかに向かって行っている感じを出すこと、楽しさを出すことが重要になります。
短い曲の中でも多くのドラマがありますので、フレーズ毎に、その時の作曲家の気持ちを想像し、表現してみてください。
解説文 : 熊本 陵平
(774 文字)
更新日:2025年1月16日
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解説文 : 熊本 陵平 (774 文字)
三部形式である。
A[a(1から6小節)+a1(7から14小節)]
B[a2(15から20小節)+b(21から24小節)]
A[a(25から30小節)+a3(31から38小節)]
主調はヘ長調。17から20小節間に属調ハ長調に部分転調するが、その他は主調によって展開されている。
主題は1から6小節。基本的に6小節の構成となるが、a1やa3楽節のように2小節のモティーフ展開(11から12小節、35から36小節)が挿入されるため8小節となる。ちなみにa1とa3学説はほぼ同一で、a1楽節では12小節では左手が四分音符と八分音符で構成されているのに対して、36小節で八分音符が3つで構成されている。
主題での特徴的なモティーフは二つあって、一つは32分音符4つの上行進行のアウフタクトからの八分音符三つの同音、そして3から4小節で見られる八分音符の6度音程による跳躍上下行である。主題全体としては上行気味の前半と緩やかに下行していく後半で構成されている。
全体を通して主題が何度も様々な変化を少しずつつけて繰り返し出現するので、主題の性格を理解することが大切である。
21小節から24小節にかけてはそれまでの主題の動きと違って、ゼクエンツとして反復進行となっている。この楽節は主題再現に向かうための移行楽節である。
全体的に幅広い音域は使われず、伴奏部分も中音域寄りで、分厚い和音も見られないことから、軽やかで軽快な曲調が想像される。左手は時折、11から13小節、35から37小節のように旋律線と違った独立した動きをするので、このような所は少しポリフォニックに捉えた方が良いと思われる。
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