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バッハ, カール・フィリップ・エマヌエル : ソルフェッジョ ハ短調 Wq. 117/2 H. 220

Bach, Carl Philipp Emanuel : Solfeggio c-Moll Wq. 117/2 H. 220

作品概要

楽曲ID:17518
作曲年:1766年 
出版年:1779年
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:種々の作品
総演奏時間:1分10秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展1

楽譜情報:9件

解説 (2)

総説 : 中塚 友理奈 (583 文字)

更新日:2015年6月12日
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C.P.E.バッハはソルフェジエット(ソルフェッジョSolfeggioとも)という名を冠する曲を3つ作曲している。いずれも1770年に出版された。

第1曲(H.220)はNon troppo vivo、ハ短調。4分の4拍子。概ね1声部で、大譜表は用いられていない。約4オクターヴにわたる音域を波打つように、流れるように上行/下行し駆け巡っていく。その間、時折現れる和音の保続により、和声が明確に響く。強弱記号はp、f、ffの他、クレッシェンド(<)やデクレッシェンド(>)の指示もあり、迫り来る感覚や遠ざかっていく感覚―遠近感を感じさせる。

第2曲(H.221)はAllegro、変ホ長調。4分の4拍子。全6小節という、非常に小規模な作品。しかしながら響きは重厚で、1小節あたりの音数も多く、密度の濃いものとなっている。右手の旋律には、最も細かい音価で64分音符や、シンコペーションのようなリズムが用いられている。一方、左手は専ら2~4音から成る和音を奏でている。

第3曲(H.222)は、Allegro assai、イ長調。4分の4拍子。全15小節。右手は16分音符で書かれた旋律を流れるように演奏する。左手は根音や属音の保続(強調)ないし和音が多いが、5~7小節のみ右手同様速いパッセージを担っている。強弱記号は基本的にfだが、9小節目と11小節目のみpの指示がある。

執筆者: 中塚 友理奈

演奏のヒント : 大井 和郎 (1147 文字)

更新日:2022年5月20日
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技術面での問題は、左右の入れ替えにあるかもしれません。左右を入れ替える際に生じるタイミングのずれが、粒がそろっていない演奏になってしまいますので、できればタイミングのズレは無いに越した事はありません。特に、バトンタッチする指が4や5などの弱い指であればなおさら危険ですね。

このような場合の練習方法です。まずはバトンタッチの部分から数えて、そこまでにたどり着く指番号を音4つ分と、そこから先の指番号4つ分を確かめておきます。

次に練習する音を絞っていきます。例えば2小節目の1拍目を例に取りましょう。筆者の楽譜には、1小節目1拍目、最初の16分音符であるEsは右手で、それから左手にバトンタッチして左は5の指からCを弾く事になっています。Esが右手3,Cが左手5 としましょう。

そしてこの2音のみでトレモロで練習します(Es C Es C Es C Es C,,,,,,,)、この2音の速度は実際に弾かれる速度と一致させ、しばらくこの2音のみをトレモロで練習します。この時、粒がそろわなかったら、右手3か左手5の指のどちらかの形が崩れている場合があります。指の形は大丈夫でしょうか?打伴する際に、指が反り返ってしまうようであればそれが原因している場合も多いです。

指の形が大丈夫であっても粒がそろわない場合は、粒がそろうテンポに落として練習してください。慣れてきたら少しずつテンポを上げていきます。インテンポまでテンポが上がったら次に音を足していきます。

2小節目1拍目の4つの16分音符だけを弾いてみましょう。Es C Es G です。これをループさ

せ、Es C Es G Es C Es G Es C Es G Es C Es G と止めないように練習して、粒がそろっ

ていれば大丈夫です。そろわない場合、右手の音を少なくしていきます。まずGを除き、Es C Esだけを抜粋し、Es C Es Es C Es Es C Es Es C Esと繰り返して粒ぞろいを確かめます。

これでもそろわない場合は最初の2つの音に戻ります。

2小節目1拍目の4つの音の粒がそろったら、今度は1小節目4拍目から、2小節目1拍目まで弾いてみます(G F Es D Es C Es G)。

このように、バトンタッチのつなぎ目の部分から2つの音を練習し、徐々に音数を増やして行きます。そうする事で左右の入れ替えが問題無くなります。お試しください。

その他、この曲はG-moll、F-mollと転調していきます。転調の度に、変化を付けてください。同じように弾かないように。

29小節目、1ー2拍間、左手のFisのみ、右手で取り、右手で、Fis Es C Es Fis Es C Es と弾いた方が筆者は楽です。左手はAしか弾きません。

執筆者: 大井 和郎

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